足指の「つかむ力」と健康長寿の知られざる関係 衰えている場合の調べ方は?

ドクター新潮 ライフ

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脳機能の衰えに影響?

 立っている場合、足は人の体の中で唯一、地面に接する部位だ。地面からの圧力を受けながら、何十キロという体の姿勢を保ち続ける。それには、筋肉が数多くの骨を常にコントロールする必要がある。試しに、片目をつむり、片足で立ってみると、いかにバランスを取るのが難しいかが分かる。この筋肉が衰えてくれば、転倒しやすくなるという理屈が実感できるだろう。

 他にも、足指を使わないでいることは、脳の機能の衰えにも関係するのではないか、と瓜谷教授が指摘する。

「脳のトレーニングでは、手の指を使うことが勧められます。指先を動かすと、脳を刺激し血流を活性化させるといわれるからです。これは、サルを使った実験でも証明されている。しかし、現代人は手を使っても足指に関しては靴を履いて固定させた生活を送っています。手だけでなく足指を動かさなければ、脳に情報や刺激が行きにくいというのは十分考えられることです」

 それならば、さっそく先の「足指筋力測定器」で自分の足指力を測ってみたい、と思う方もいるはずだ。しかし、残念ながらこの機器は、血圧計や握力計のように手軽に買うことはできず、瓜谷教授ら研究者や特定の施設だけで使われているのが現状だ。

 だが、測定器を使わずとも足指が衰えているかどうかを測る方法はある、と瓜谷教授は言う。

 例えば、「ペーパーグリップテスト」。用意するのは、手伝ってくれる人を1人(検査者)と、2センチ×10センチほどの紙片だけでいい。足の親指の付け根で紙片を押さえ、かかとが浮かないように、膝を押す。検査者が紙を引き抜こうとしたら、力いっぱいそれに抵抗する。3回紙を引っ張って、3回とも簡単に抜けるようだと黄信号(陽性)だ。若く健康な人は、足の指でつかむ力が強く、紙は簡単に抜けない。

「上級者向け」も

 他にも足指を広げたり丸めたりするだけでも、ある程度分かるという。足指の筋肉は指の可動域と関係しており、筋力が弱ってくると思ったように広げられなくなる。まず、裸足になって指を広げ、上に反るように開いたり、逆にグルっと内側に丸められる人は、標準以上の筋力があると見ていい。

 やってみて、あれ? こんなはずではなかったのに、という結果になる人もいるだろう。だが、心配はない。足指の力は取り戻すことができる。ぜひ、次にご紹介するトレーニングを試していただきたい。

 まずは、「タオルギャザー」。瓜谷教授に教えていただこう。

「長さ50センチほどのタオルを縦に床に置きます。手前の端にかかとを置いて、タオルを押さえながら、足指で手繰り寄せるのです。先端まで手繰り寄せたら、これを1回として、合計で10~15回繰り返し、1セットとします。1日あたり2~3セット行うのがいいでしょう。身近にあるものを使って椅子やソファに座りながらできるので、気軽に始められます」

 タオルギャザーには「上級者向け」がある。

「余裕ができてきたら、タオルの足と反対側の先端に重しを置いて、同じことをやります。これで少し大変になる。例えば、水を入れた500ミリリットルのペットボトルを置いて引き寄せてみる。簡単にできるようになったら、だんだんペットボトルを重たくしてゆくのです」

 やってみると、結構しんどい。別のトレーニング法もある。これもシンプルだ。

「まずビー玉や、スーパーボールなど、足指でつかめるものを10個ほど用意します。家で使わなくなった乾電池でも構いません。さらに空箱を用意します。玉やボール(あるいは乾電池)を足指でつかんで、一つずつ箱に入れてゆくのです。これを片足で10回ほど。それが終わったら、反対の足でまた10回ほど行うのがいいと思います」

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