「三木首相殴打事件」の右翼がすべてを目撃していた…保釈中の「田中角栄」にケタ違いの警備が敷かれた理由

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旅行はすべて「3日以内」

 編集チームは手分けをして、いったい田中角栄“元首相”の警備は、ふだん、どうなっているのかを調べまわった。このころ、角サンは、北海道だけでなく、長崎や大阪など、日本中を駆け回っており、そのたびに、“大警備”が付いていたのだ。

「さっそく、警視庁や警察庁へ、“ふだん、どんな警備体制なのか”を聞くべく、正式取材を申し込みましたが、当然ながら、取材拒否でした」(元週刊新潮記者氏)

 そのとき、ある記者が、「保釈中の被告人は、旅行は制限されているはずだ」と気がついた。そこで専門家に聞くと、「旅行は、たしかに事前に裁判所の許可が必要だが、3日以内なら、不要です」とのことだった。

「調べてみると、角サンの旅行は、見事に、すべて3日以内でおさまっていました。敵もさる者といった感じでした」

 実は、角サンには、右翼に狙われているとの情報が、かなり出回っていたのだ。それだけにどうしても“過剰警備”になっていたようなのだ。

「しかし、日常の角サンの警備がどうなっているかをもっと具体的に書かないと、記事に厚みが出ない。全国紙の政治部記者にも聞いてみましたが、おおよそのことしかわからない。中間報告の打ち合わせで、みんな黙り込んでしまいました」

 そのとき、たまたまその場を通りかかった記者が、耳よりの情報を寄せてくれた。

「俺、徹夜明けでタクシーで帰るとき、目白通りの角栄邸の前を通るんだ。すると、明け方から、土日もふくめて毎朝、角栄邸の前に座り込んで、ひとりで太鼓を叩いて『田中角栄、退陣しろ~』と“抗議活動”みたいなことをしている右翼がいるんだよ。もしかしたら、彼が警備の様子をつぶさに見てるんじゃないか」

 チーム内に「それだ!」の声が飛んだ。

「さっそく、いちばん若手だったわたしが、行くことになりました。寝坊すると怖いので、土曜の夜から新宿二丁目の深夜バーで、酔わない程度にチビチビ呑んで時間をつぶし、日曜の朝6時くらいに、目白へ向かいました」

 そこには、異様な光景が展開していた。

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