ダイエット効果に美肌作用も… 「梅干し」の知られざるポテンシャル

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リラックス作用

 さらに、みなべ町の言い伝えには〈風邪には梅干し、梅酢うがい〉というものもあります。梅酢とは、梅を塩漬けにする過程で出てくるエキスのことですが、私たちが発見した梅に含まれる「エポキシリオニレシノール」というポリフェノールの一種が、培養細胞を用いた実験において、インフルエンザウイルスの量を減らすことが明らかになっています。

 さらに驚くべきことに、培養細胞に新型コロナウイルスと梅干しを一緒に投与すると、ウイルスの増殖が抑えられることも私たちの実験で分かっています。しかも、新型コロナウイルスは次々と変異していますが、梅干しは、さまざまな変異株に対して増殖抑制効果を発揮します。やはり、言い伝えは真実だったのです。

 みなべ町に限らず、風邪などで体調を崩して頭痛がする時は、こめかみに梅干しを貼ると治るとよく言われると思います。これは、梅干しの香り成分である「ベンズアルデヒド」に神経をリラックスさせる作用があるからだと考えられます。加えて、梅干しには「ベンジル-β-D-グルコピラノシド」という、アスピリンと似た働きをする成分も含まれているため、食べることでも頭痛や歯痛などの緩和が期待できます。

日本最古の医学書にも梅干しの効能が

 このように、まさにスーパーフードと言うべきさまざまな機能性、効能を持つ梅干しの食べ方としては、定番のおにぎりや日の丸弁当以外では、私はヨーグルトや牛乳に梅酢を混ぜたり、あるいは梅干しそのものを入れたりして食卓に取り入れています。先ほど触れたように、梅干しにはバニラの香りの主成分であるバニリンが含まれていますので、ヨーグルトなどにも実はよく合うのです。

 古くは日本最古の医学書「医心方(いしんぽう)」(984年)において、心臓の乱れを鎮(しず)め、下痢を止めるなど、梅干しの効能が紹介されています。「梅干しは健康食品である」という記憶は、私たちのDNAに刻まれてきたと言っても過言ではないでしょう。その伝統を私たちは受け継いでいるのです。

 ごく小さな粒に過ぎないものの、大きな健康効果を持つ梅干し。日本ならではの「フルーツとしてではない梅」の健康効果を、私たちが活かさない手はないと思うのです。

 たかが梅干し、されど梅干し……。

宇都宮洋才(うつのみやひろとし)
大阪河崎リハビリテーション大学教授。東海大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。専門は細胞生物学、機能性食品学。米国バンダービルト大学留学、和歌山県立医科大学准教授を経て、2022年より現職。梅干しの効能を科学的・医学的に研究する「梅干し博士」としてNHK等のメディアに多く登場している。『梅・梅干し・梅しごと 大学教授が教えるすごい食べ方大全』(共同監修)等の出版に携わる。

週刊新潮 2025年11月27日号掲載

特別読物「知られざる効能、機能性を一挙公開 『梅干し』を食べて長生きする」より

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