ダイエット効果に美肌作用も… 「梅干し」の知られざるポテンシャル
梅干しのダイエット効果
しょっぱい梅干しは、実は血圧上昇およびそれに伴う合併症に対して抑制効果を持つという「意外な真実」。付言しておくと、人体のなかには血圧を上昇させる「3本のルート」が存在し、そのルートを文字通り道路に喩(たと)えるならば、梅干しはそのひとつの道路を通行止めにする効果を発揮し、残る2道路のうちの1本はご飯、もう1本は桃が通行止めの機能を果たすことが分かっています。したがって、高血圧が気になる人にとっては、「日の丸弁当と、デザートに桃」が最強の食事メニューのひとつになるのではないかと私は思っています。
血圧のコントロールに効くだけではなく、梅干しはダイエット効果を持つ食品でもあります。梅の有名な産地として知られる和歌山県紀南地域の女性を対象に疫学調査を行ったところ、梅干しを食べない人のBMI(肥満度を示す体格指数)の値の平均は22を超えたものの、毎日1~2個食べる人は21、3個以上食べる人は19という結果が出ました。
こうしたダイエット効果をもたらす梅干しの成分のひとつが「バニリン」です。バニラの香りの主成分でもあるバニリンは脂肪燃焼効果に優れていて、内臓脂肪の蓄積を防いでくれます。また、梅干しのすっぱさのもとであるクエン酸も、体内のエネルギー代謝を活発にするサポート効果があり、やはりダイエットに寄与します。
なお、やはり梅に含有される「バニリングルコシド」という成分は、加熱するとバニリンに変化するため、加熱によってダイエット効果のさらなる増大が期待できます。ですので、梅干しを軽くフライパンであぶる「焼き梅干し」がダイエットにはお勧めです。もしくは、より簡単に、電子レンジで梅干しを温めるだけの「レンチン梅干し」でもバニリンは生成されるので、これからの寒い季節こそ、ぜひ試してみてください。
梅の産地では女性の肌が美しい?
健康面だけでなく美容面でも、梅干しは積極的に摂るべき食品だと言えます。
皮が薄く、果肉が柔らかい最高級ブランド「南高梅(なんこううめ)」の産地である和歌山県みなべ町に私は時折行くのですが、そこの梅農家を訪ねると、「先生、うちの母ちゃん(奥さん)、きれいでしょ」「俺の家内は美人なんだ」とよく話し掛けられます。“みなべ小町”がたくさんいらっしゃるわけです。たしかにみなべ町の女性は肌がきれいという印象が強い。事実、化粧品メーカーが行った「ニッポン美肌県グランプリ2018」では、和歌山県は「シワができにくい」部門で1位、「くすみがない」部門で2位に輝いています。
皮膚の弾力性やハリを保つにはコラーゲンが欠かせませんが、加齢や紫外線によって、「コラゲナーゼ」というコラーゲンを分解する酵素が活性化してしまいます。コラゲナーゼは、いわば「美肌の敵」なのです。そして、梅に含まれる「トランスクマル酸」という成分がコラゲナーゼの働きを阻害することが私たちの実験で分かっています。加えて、梅干しに含まれるポリフェノールの一種の「梅リグナン」は強い抗酸化力を持っているため、やはり美肌の敵である活性酸素に対抗してくれます。コラゲナーゼに梅リグナン。みなべ小町も頷ける話です。
みなべ町では、〈梅を食べたら寝付かない〉という言い伝えもよく耳にします。梅干しを食べていれば寝たきりにならないという意味です。寝たきりになる大きな要因は転倒・骨折であり、骨粗鬆症の予防が「寝付かない」ためには大事になってきます。この点でも梅干しは役立つのです。
私たちが和歌山県在住の61~81歳の男性を対象に行った調査では、梅干しを食べない人の骨密度の平均は基準値を下回り、週1~2個の梅干しを食べる人のそれは基準値を大きく上回るという結果が出ています。梅はカルシウムをはじめとするミネラルの含有量が多い上に、クエン酸にはカルシウムを溶けやすい形に変えるキレート作用というものがあり、カルシウムの吸収を促進してくれます。〈梅を食べたら寝付かない〉も、本当だったわけです。
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