高市総理の巨額補正予算では「物価高」はさらに悪化する…見過ごせない3つの理由

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物価高の「火元」をなぜ放置するのか

 2つ目は、総合経済対策が物価高対策につながるとは思えない点である。高市総理は「内閣発足以来、国民のみなさまが直面する物価高への対策を最優先に掲げてまいりました」と胸を張った。ガソリン暫定税率廃止や、子供1人あたり2万円の現金給付がそれに該当するのだろうが、すでに述べたように物価上昇率は3%にもなり、消費税が3%上がったのも同じ状況にある。こんな小手先の減税や給付が対策になるはずがない。それに、緩和策を続けるかぎり円安が続き、物価高は解消されない。

 円安によって価格が上昇する輸入品が、自動車や高級ブランド品、高級食材だけなら、円安が万人にダメージをあたえるとはいえない。だが、日本は食料全体の62%、エネルギーの88%を輸入に頼るなど、輸入への依存度が極端に高く、円安が物価高に直結する。それなのに火元を放置したままでは、今後も物価はますます上昇するしかない。

 実際、高市氏が自民党総裁選に勝利した時点で円安が大きく進んだ。これは高市氏が緩和志向だと知っている金融市場が、今後も日本と欧米の金利差が縮まらず、円が売られる状況が続くと判断したからだ。つまり、足元を見直さないかぎり物価高対策にならないはずなのに、足元を顧みる気配はない。

 そもそも金融緩和はアベノミクスの開始以来、大きな副作用をともなってきた。異次元緩和は2024年まで続き、その間、金利がゼロなのをいいことに政府は赤字国債を乱発し、それを日銀が無制限に買い取ってきた。結果として、国の借金は恐ろしく膨らんだ。2024年度末時点で、国債、借入金、政府短期証券を合わせて1,323兆円超で、GDP比で237%という数字は世界トップクラスである。年収1,000万円の家庭が1億数千万円の借金をかかえているのと同じ、といえば伝わるだろうか。

 これだけ借金があると、金利が少し上がれば財政負担に直結する。このため、どこの国でもインフレや通貨安になれば金融を引き締めるのに、日本だけはなかなかできない。それでも、少しずつでも金利を上げ、同時に財政の健全化も図らなければ、円安が続いて物価高は解消しないはずだが、高市政権は金融を緩和し、借金はさらに増やそうとする。そのうえでの小手先の対策は、燃え盛る火に油を注ぎつつ、わずかな水をかけるのに似ている。

 こうして物価高が続くかぎり個人消費が上向かず、景気は回復しない。コロナ禍が終わると、その間の貯えを一気に消費しようという志向が世界中で生じた。いわゆる「リベンジ消費」だが、日本では起きなかった。異次元緩和が続いて円安が進み、物価が上がって家計の負担が増え、リベンジどころではなかったのだ。

 その後、状況はさらに悪化している。特に多くの金融資産を持ちながらも収入はかぎられる高齢者は、現状では利子収入がゼロに等しいので、物価が上がるとますます財布のひもを締める。個人消費が上向くわけがない。

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