「ステルス値上げ」はあり?なし? 石原伸晃と読み解く“コンビニが映す日本社会のいま”

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『あなたとコンビニとニッポン』石原伸晃×渡辺広明(後編)

 全国5万8,000店舗、年間約162億人が買い物する“コンビニ超大国ニッポン”。老若男女、昼夜を問わずさまざまな人が訪れるコンビニは、その目的や利用方法も人によってさまざまだ。「コンビニとの付き合い方」を覗いた先に見えてくるものとは? コンビニジャーナリスト・渡辺広明氏が、ゲストを招きコンビニについて大いに語り合う──。

 今回のゲストは、元自民党幹事長でジャーナリストの石原伸晃氏(68)。小泉内閣の規制改革担当大臣として、コンビニなどの一般小売店での市販薬販売の規制緩和を推進した経歴もある同氏。後編の本稿では、コンビニから日本人の消費のあり方について考えを深めていく。

セルフレジで変化するコンビニの姿

渡辺:前回は議員会館のセブンイレブンで偏愛していた「シャキシャキレタスサンド」の話が中心でしたが、ファミリーマートやローソンにはどんな印象がありますか?

石原:うちの近所にはセブンイレブンが2軒、ファミマも1軒あるんですが、ローソンは小さいナチュラルローソンしかないんですよね。

渡辺:なるほど。

石原:息子と外出中、ファミマのコンビニエンスウェアのお世話になったことはありますね。ドレスコードのために襟付きのポロシャツを急遽買ったんです。それが鹿の子みたいな手触りで、高品質な衣料品が充実していて驚きました。

渡辺:アパレルの専門店と遜色ない品質です。ファミマは親会社が伊藤忠で、伊藤忠は祖業が繊維系なので。

石原:そういう背景もあるのか。

渡辺:中でも圧倒的に売れているのはラインソックスですね。パイル編みという少し厚手のソックスで、普通は1,0002,000円ぐらいする高級靴下なんですが、ワンコイン以下で売っているという。僕も今日履いているんですけど。

石原:靴下も息子に買ってやればよかったな(笑)。

渡辺:今日ちょうど持っているんですが、タオルハンカチもおすすめですよ。

石原:流石です(笑)。

渡辺:もともと僕はローソン出身なんですけどね(笑)。ローソンは今後の新店舗の12割は過疎地につくる方針を打ち出していて、都市部の通常の店舗などより売り上げがなくても利益を出せるかたちを検討中です。いくつかの方向で取り組みがあるんですが、おそらくセルフレジ導入が大きな軸になるのかなと。

石原:ファミレスチェーンもユニクロも無印良品もセルフレジですし、セルフレジは本当に増えていますよね。やはり、なかなかアルバイトで働く人がいないという。

渡辺:人手不足と物価高の中で商品やサービスの価格を抑えようとすると、セルフレジは不可欠です。コンビニのセルフレジ利用率も今後10年ぐらいで67割になるかもしれません。

石原:セルフレジでの不正ってどのぐらいあるんですか?

渡辺:正確な数字は僕もわかりませんが、実際は少なからずあると思います。カメラとかも大量に設置しているんですけど。ただし、商品のスキャン漏れなどお客さまが無意識に不正をしてしまってるケースがほとんどかと。日本は課題先進国なので、どう省人化していくかは試行錯誤中です。国内外問わず遠隔で接客できるアバター接客の実証実験も進んでいるところですね。

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