子どもを「理系」に育てるには「小学4年生」が分かれ道 プロ家庭教師が説く「計算力」だけではない「算数を学ぶ深い意義」とは

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「AIに多くの職業が取って代わられる」と言われる時代。将来不安なく生きていけるように、できればわが子には専門的な能力を身につけて、「理系の道」へ進んでほしいと望む親が増えている。近年、中学受験においても、理系進学の実績が高い学校に人気が集まっていると話すのは、受験指導に精通したプロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏。それでは、理系が得意な子にするにはどんなアプローチが有効なのだろうか。(石渡真由美/ライター)

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「うちの子、算数が本当に苦手で……。でも、うちは夫婦ともに文系出身なので、問題を見てもさっぱり分からないのです。理系出身のお父さんのいる子がうらやましい」

 中学受験指導で家庭に訪問すると、よくこんな嘆きの声を耳にすると西村氏は言う。“親が理系に強いと子どもも強くなる”。そう思い込んでいる人は少なくないようだ。

 だが実際は、理系出身の親ほど、算数を数学で教えようとしたり、「とにかく公式を覚えろ!」「何度も問題を解け!」と間違ったアプローチをしてしまったりするケースが多いという。中学受験も、大学の一般入試も、当日のテストの得点で合否が決まるので、そのやり方で突破できてしまうことはある。しかし、「処理能力が高いというだけでは、本当の理系とは言えない。今の時代に求められる理系力は、論理的に思考できるかどうかだ」と、西村氏は強調する。

 その思考を育むのに、算数は最適な科目だ。とはいえ、小学生になった段階で、すでに算数に苦手意識を持っている子は少なくない。

「算数の第一歩は計算です。計算は小学校に入ってから取り組んでも十分間に合いますが、その前の幼児の段階で、数に親しんでおくことをおすすめします。日々の暮らしの中で数を数えてみたり、順番や個数を意識した会話を取り入れてみたり、トランプやかるたなどの遊びを通じて、ワーキングメモリーを鍛えるだけでも、その後に差が生まれます。また、近ごろはキャッシュレス化が進み、小銭を持たなくなっていますが、買い物で小銭を使う練習をすると、『10の補数』の感覚が身につきます。この感覚が身についていると、小学校に入ってから算数の勉強が始まっても、計算で苦労することはありません」

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