年末年始に“劇場で観たい”おとなのための「海外映画」傑作ベスト3…見逃せない邦画もご紹介!
「CROSSING 心の交差点」(レヴァン・アキン監督、スウェーデン・デンマーク・トルコ・ジョージアほか合作、2024)
近年は、性の多様性やジェンダー、LGBTQ+を題材にした映画が多い。つい内容が強烈に思えて、敬遠している方も多いと思う。だが本作は、初めてこの題材に触れる方でも、安心して、かつ文芸テイストを味わいながら楽しめる作りになっている、たいへん味わい深いロード・ムービーである。
物語の旅は、ジョージアからはじまる。退職した女性教師リアは、亡くなった姉の遺言に従って、行方不明の姪を探している。姪はトランスジェンダーで、本来は男性である。どうやら、トルコのイスタンブールへ行ったという。その行方を知っているという青年があらわれ、リアは、2人でトルコへ向かう。
「この2人が、世代も思想も全くちがう設定で、これが物語に深みを与えています。リアはむかしながらの旧ソ連世代、青年は現代的な西欧志向世代。彼らが西欧社会の窓口ともいえるイスタンブールに入ったことで、少しずつ、考え方に変化があらわれるのです」
やがて雑多な文化の交差点ともいえるイスタンブールに、トランスジェンダー・コミュニティがあることが描かれる。ここで2人は、トランスジェンダーの権利獲得のために戦っている弁護士と知り合い、彼女(彼)の協力で、姪探しに奔走することになるのだが……。
「そのうち、トランスジェンダー、旧ソ連世代、現代西欧志向という、まったく異なる環境にいる3人が、次第に心をひらいて、近づいていく様子が描かれます。その様子がとても自然で、ドギツイ化粧のトランス女性たちが愛おしく見えてきて、親しみを感じ始めるはずです。ほんとうの“多様性”とは、どういうことなのかを、ていねいに描いている。世代を超えた家族全員で観ても、心配ありません。かえって、高校の芸術鑑賞会で上映してほしいほどです」
果たして、姪は見つかるのか……ミステリ・タッチも漂い、じっくり楽しめる、これぞおとなの映画である。
(1月9日より、Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほかで、全国順次公開)
(C)2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB 配給/ミモザフィルムズ
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