「秘書を雇おうと思ったことはない」 池上彰の“すごい手帳術”と時間管理の極意

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 ニュース解説の第一人者といえば、池上彰さんだろう。自分もあんなにわかりやすく話せたら、説明できたらと思う人も少なくないはずだ。

 そんな池上さん、実は秘書やアシスタントは雇わず、マネジメント会社にも所属していない。仕事のスケジュールはすべて自分一人で管理しているのだという。

 テレビの仕事の他に、現在ひと月に10本以上の原稿の締め切りを抱えるなか、どんな<時間術>を駆使しているのか?

 池上さんの新刊『池上彰が話す前に考えていること』には、さまざまな経験を通して磨かれた「思考の整理」のスキルがまとめられている。その中から、伝えるプロが実践する3つのポイントを紹介する(以下、同書をもとに再構成しました)。

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(1)予定管理は自分任せ

 仕事のスケジュールはすべて自分で管理しています。秘書を雇おうと思ったことはありません。うちに籍を置きませんかとマネジメント会社から誘われたこともありましたが、ジャーナリストが芸能事務所に所属しているなんておかしいでしょ? NHKを辞めてからはずっとフリーランスを貫いています。

 頼みの綱は自分だけ。他に逃げ道がないと自覚しているからこそ、スケジュール管理でミスを起こさないのかもしれません。

 原稿の締め切りも、自分で引き受けると決めたからには必ず守る。どうしても半日~1日くらい遅れてしまいそうな場合には事前に連絡を入れておきます。それでも間に合いそうにないときは睡眠時間を削るまで。昭和的な働き方だとツッコまれてしまいそうですが。

(2)仮スケジュールでも、とにかくメモする

 予定に変更はつきもの。書いたり消したりをラクに繰り返せるように、スケジュール帳に書き込むときはいつもシャープペンシルを使っています。

 スケジュール管理もいたってシンプルです。アポが入りそうな日程がいくつか挙がれば、仮の段階でもすべて手帳に書き込んでしまいます。日時が確定したら、他の候補日は速やかに消しゴムで消しておしまい。おかげで、「うっかり約束を忘れた」なんてことは今までありませんでした。

 色分けなど手間のかかることは一切やりません。これが結果的に「時短」にもつながっています。

(3)スマホは時間泥棒

 四六時中スマホを触っていないと落ち着かない、というのは「スマホ依存」です。意識的にスマホ断ちをしなければ、この状態から抜け出すことができません。

 だからといって、もうスマホを持ち歩かない、解約してしまうというのはハードルが高いですよね。初めは「仕事の休憩時間にスマホを見ない」など、これまでの習慣をちょっと見直すだけでいいと思います。そして、ほかのことに時間を充てる。それぞれの時間は短くても、積み重ねるうちに膨大な差がつきます。

 これからは、「自分自身の頭で思考し、的確に判断する」ことが今まで以上に求められるはず。ぼんやりスマホを眺めているとくつろげる心境もわかりますが、そこに多くの時間を割くのはあまりにもったいないと思うのです。

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 ちなみに池上さんは、原稿を書き終えた後などに「自分へのご褒美」として、犬や猫のネット動画を観て、息抜きすることがある。その可愛らしい姿に思わずクスッと笑ったりして、大いに癒やされているそうだ。

 スマホやインターネットを悪だと決めつけるのではなく、ほどよい距離感を保って付き合うことが大切だということだろう。

 ※『池上彰が話す前に考えていること』より一部抜粋・再編集。

池上彰(いけがみ・あきら)
1950(昭和25)年、長野県生まれ。ジャーナリスト。名城大学教授、東京科学大学特命教授、立教大学客員教授など複数の大学で教鞭を執る。慶應義塾大学卒業後、NHK入局。報道記者や番組キャスターなどを経て、1994年から11年間、『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。2005年に独立。『伝える力』『なぜ、読解力が必要なのか?』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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