「文章を書くのが苦手」と悩む人にこそ実践してほしい 池上彰が“書く前に必ず考えていること”
ニュース解説の第一人者といえば、池上彰さんだろう。テレビ番組に出演する傍ら、現在は毎月10本以上の原稿の締め切りを抱えている。
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もともと文章を書くことが得意だったわけではない。記者として駆け出しの頃は「文章力が乏しく、記事のまとめ方も見よう見まね」で非常に苦労したという。試行錯誤の末に池上さんが身に着けた、<とっておきの文章術>とは?
池上さんの新刊『池上彰が話す前に考えていること』には、さまざまな経験を通して磨かれた「思考の整理」のスキルがまとめられている。その中から、伝えるプロが実践する3つのポイントを紹介する(以下、同書をもとに再構成しました)。
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(1)書き出しは「ねえねえ、大変!」
レポート形式の文章を書き始めるとき、騙されたと思って「ねえねえ、大変!」と、冒頭に書いてみてください。このあとに続く文章は、自ずと説得力がある内容になります。最後まで書き終えたら、「ねえねえ、大変!」の部分はまるまる削除します。
プレゼンテーションの骨子を考える場合にも、同じ手法が役立ちます。必ず「どうしても報告したいことがあるのです」の一言から始めるのです。
この場合、「どうしても報告したいこと」を早く伝えたくなりますよね。話の優先順位が明確になり、ダラダラ無駄に喋ることがなくなる。結果的に説得力あるスピーチができるんです。
(2)「型」は知ってこそ崩せる
記者として駆け出しの頃、取材原稿をまとめるのにすごく苦労しました。もともと文章力が乏しかったうえに、筆の運び方も見よう見まね。
そこで行き着いたのが、とにかく「型」を頭に叩き込むことでした。NHKの全国向けラジオ放送を録音してそれをノートに書き写す―これをひたすら繰り返したのです。
テレビには放送原稿の型、新聞には新聞原稿の型があり、報告書やプレゼンテーションにも型はあります。型に沿って満足に書けるようになって初めて、ようやく次のステップへ進むことができるのだと思います。
これは文章に限ったことではありません。経験や力量が不足している場合には、まず型を知ることが大事。それができて初めて、型を崩せるようになります。
(3)「が」は逆接の意味にだけ使う
接続詞「~が」は逆接の意味にだけ使いましょう。
「私は大の野球ファンなのですが、今年こそ本場アメリカでメジャーリーグの試合を
観戦したいと思っています」
こんな使い方をする人がいます。逆接でなく、順接の意味で「が」を使っているパターンで、混乱を招きやすい。「ああ、この人は野球が好きなんだな。でも“が”といっているから、そのあと反対の内容が続くんだろう」と想像するのが、聞き手にとって自然な思考回路だからです。
「が」を用いればなんとなく文章が続いていきますが、惰性で使っていると論理的に書いたり話したりする力がつきにくくなります。
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「文章を書くプロセスは、料理にも似ている」と池上さんは語る。
書くことに苦手意識が強い人ほど、事前の準備をせず、ぶっつけ本番で書き始めようとするが、おいしい料理(=よい文章)をつくるためには、食材の下準備や調理手順のシミュレーションが何よりも大事なのである。
※『池上彰が話す前に考えていること』より一部抜粋・再編集。









