静岡の港に浮かんだ「女画商」バラバラ遺体…25年前の事件で被害者と「一級建築士」の加害者をつないだ「借金」と「ギャンブル」

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「死体が浮かんでいる」と釣り人が

 今からちょうど25年前の12月13日、死体損壊などの容疑で当時47歳の男Bが逮捕された。同年11月20日に、静岡県大井川港で女性のバラバラ遺体が発見された事件である。

 遺体が発見された日の大井川港は、早朝から小雨がぱらつき、北東の風が強く吹き付ける荒れ模様の天気だった。港の東海岸はクロダイ釣りの格好のポイントとして知られ、平日でも早朝から釣り人が訪れる。午前8時40分ごろ、近くの交番に「人の死体が浮かんでいる」と届け出たのも釣り人だった。

 所轄の藤枝署員に加え、大井川町漁協の組合員も現場に向かった。遺体が浮かんでいたのは防波堤付近の10メートルの範囲。組合員の1人は当時の「週刊新潮」に対し、真っ先に目に飛び込んできたものは乳房だったと語っている。

〈「遺体は両腕がなく、臍から上の胸部で、喉仏の上あたりが切断されていました。服は着ておらず、すぐに女の人だと分かりました。その先に、白いお尻がこっちを向いて浮かんでいました。さらに近くには、膝から下の右足の部分。よく見ると、足首が切り落とされていた」(居合わせた組合員)〉(「週刊新潮」2000年12月21日号)

遺体の脇に浮かんでいたバッグ

 雨は次第に強くなり、波も荒れてきた。陸上からの作業が困難になり、組合員が海に入って遺体にロープを巻きつけ、引き上げることになった。

〈「遺体の切断面を見たけど、ギザギザしていなくて、冷凍マグロを輪切りにしたように、スパッときれいに切ってありました。余りにも見事な切り方なので、相当な腕の持ち主だろうと思いましたよ」(引き上げを担当した組合員)〉(同)

 翌日も行われた捜索では左足を発見。手術痕やDNA鑑定の結果、遺体は東京都内の画商・Aさん(当時52歳)と断定された。Aさんは「静岡の知り合いに絵を売りに行く」と家族に言い残し、11月19日の夜に車で自宅を出ていた。

〈「午後7時頃、東名川崎インターから乗り、9時頃に焼津インターで降りたところまでは確認されています」(地元記者)〉(「週刊新潮」2000年12月28日号)

 捜査本部は年内解決を目指したものの、裏付け捜査が難航。捜査の長期化が予想されるようになる中、遺体の脇に浮かんでいた海外ブランドのバッグがBの逮捕につながった。

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