千葉の公立中で「塾講師」が教えたら全教科で“想像を超える”結果が…「日本版サプライティーチャー」で最も効果が期待される「教科」とは
昨今、学校教員の人員不足が進み、「担任」が不在のクラスがあるなど、深刻な問題となっている。これを受けて、文部科学省は病欠や産休・育休で欠員が生じた公立校に教員資格を持った塾講師や元教員などを派遣する日本版「サプライティーチャー」の導入を目指している。つまり、教員の不足を塾講師で穴埋めしようというわけだが、実はこれに先立ち、公立の小中学校で民間の塾講師を子どもたちの学力向上に活用する取り組みをすでに進めているのが千葉県だ。その取り組みを検証すると、塾の「教え込み」スタイルが効果的な単元と、公立校教員による子どもたちの話し合いを重視した思考力を高める指導が効果的な単元があることがわかったという。全国に先立つ千葉県の取り組みに何を学べるのか。そのねらいを担当課に取材した。（なかのかおり／ジャーナリスト）
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今年度、千葉県では公立校の一部で、小学校6年生の算数と中学校3年生の数学・英語を対象に塾講師が派遣されている。
派遣される時間は1日6時間で、そのうち4時間は教員の授業補助として指導している。また、放課後の2時間は、補習準備と塾講師単独での補習が行われている。塾講師の派遣を行っている県内10校のうち、6校で授業補助と補習を実施し、4校では補習のみとなっている。
どのような経緯で、塾講師を活用しようと思ったのだろうか。千葉県教育庁教育振興部学習指導課の吉村政和主幹は、塾講師の優れた指導力を学校の授業の中でも活用する場面はないかと考え、当初は「教師の指導力向上」を目的にスタートした、と話す。
この取り組みは令和5年度から始まった。最初の年は、塾講師に特別免許状を付与して単独で授業を行ってもらい、学校と塾の指導法の効果を比較した。小学校5年生の算数の授業を対象に、単元を絞って4か月ほど授業を撮影し、発問の仕方や授業の進め方でどんな違いがあるのか、千葉大学に検証を依頼したのだ。また、算数のテストを開始前と終了後の2回、対象児童に受けてもらい、学力についても分析している。
「単元によって、塾のような指導の仕方、いわゆる“教え込み”のやり方が有効なものもあれば、教員の指導で協働的に教えた方が伸びるものもあるとわかったんです。例えば割り算や小数、分数の計算は、塾講師が教えているように、結論を先に指導し、練習問題をどんどん解かせると伸びる。一方で、図形の問題や割合の問題など、思考を巡らせるような単元は、子どもたちに課題解決をさせながら話し合いを重視して授業を進めていく教員の指導法が伸びました」（吉村主幹）
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