誕生から100年で「高市首相」も投資を明言 「常識を捨てないと理解できない」量子コンピューターは世界を変えるのか【今、学んでおきたい量子力学入門】
“量子ネイティブ世代”が新たな時代を創る
山本さんによれば、今、日本物理学会では量子力学に関する一般向けの広報活動に力を入れているそうだ。
「これまで日本物理学会はあくまでも会員である研究者たちのための組織だったが、量子技術の社会実装が進んでより身近なものとなっていく未来を見据え、これからは一般の人たちにも量子力学の不思議な世界や大きな可能性に触れてもらう機会を増やしたい」
代表的な取り組みとして、今年6月には日本科学未来館(東京・お台場)で「量子フェス」を開催、当日は科学ファンのみならず幅広く老若男女が集まり「特に家族連れが多く、子どもたちが興味津々だった」と山本さん。今年4月に日本科学未来館ではじまった新常設展示「量子コンピュータ・ディスコ」でも、子どもたちが常識にとらわれずに量子技術を感覚的に体験している姿が印象的だったそうだ。
「量子技術・量子産業の発展のためには、早い段階からの人材育成・教育が大事だとあらためて感じた。今後は学会としても、全国各地で小中学生が量子の世界の入口に触れられるようなイベントを開催していきたい」
国連総会は量子力学誕生100周年を記念して、2025年をユネスコの「国際量子科学技術年」とした。これからの新たな100年、“量子ネイティブ世代”がどんな世界を切り拓いていくのかが楽しみだ。
後編「量子コンピューターから量子暗号通信まで 脅威の計算能力と絶対安全な通信技術がもたらす未来図とは【今、学んでおきたい量子力学入門】」では知られざる「量子暗号通信」にスポットを当てていこう。
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