「韓国基地から中国を攻撃」で“台湾有事は日本の問題”ととぼけていた韓国人は真っ青に 在韓米軍司令官の宣言が突きつけた踏み絵
原潜承認はタダではなかった
――原潜建造の承認は中国に対抗せよ、ということだったのですね。
鈴置:韓国各紙もようやくそれに気がつきました。例えば、ソウル新聞は「無料の原潜ではない『トランプはさらなる計画があるのか』…習近平めがけ」(11月18日、韓国語)で「原潜の建造承認は米国からの贈り物ではなく、中国牽制用だった」と嘆きました。
李在明大統領がトランプ大統領に原潜の建造の承認と協力を求めた際、「中国と北朝鮮の原潜を追跡するために必要だ」と説明しました。それを逆手に取られたのです。
なお、韓国政府はすぐに中国政府に対し「中国の潜水艦とは言っていない。中国の方から来る潜水艦と言ったのだ」と言い訳しましたが、米国はさぞ、冷笑したことでしょう。
ソウル新聞のこの記事によると、コ―ドル作戦部長は記者との懇談で「米国は同盟国と共に協力して、核心的な競争上の脅威である中国関連の共同目標を達成することを期待する」「韓国も相当部分、中国に対する懸念を共有していると考えており、戦略的計算に含めなければならない要素」とも語りました。
中国は黄海の中韓暫定水域に無断で海洋構造物を建設しています。韓国は反発していますが打つ手が無く、やられっぱなし。これに目を付けた米国は「中国に対する懸念を共有する韓国が米国側に来るのは当然だ」と呼びかけたのです。
米国のK・キム(Kevin Kim)駐韓代理大使も11月20日、ソウルで開かれた韓米外交フォーラムの基調演説で「域内の挑戦的な課題が深化している」、「最近、黄海で起こったこと」などと、中国の海洋構造物の違法建設問題に暗に言及したうえで「共に協力して対応せねばならない」と米韓の結束を訴えました。
さらにキム代理大使は「だから米韓の大統領は原潜など新たな能力を導入して課題に対応することにした」とも述べました。韓国への原潜導入は対中用であることを強調したのです。
NPT違反と言いだした中国
中国を共通の敵とすることで韓国を引き寄せようとした米国に対し、中国も黙っていませんでした。米代理大使の発言と同じ11月20日、駐韓中国大使館は「驚きと不満を表わす」と表明しました。
そもそも、中国は韓国の原潜保有に反対しているのです。戴兵・駐韓中国大使は11月13日、ソウルの中国大使館で記者懇談会を開き、「韓米の原潜協力は単なる商業的協力の次元を超え、世界的な核不拡散体制および韓半島地域の平和と安定に直結する事案だ」と述べています。
東亜日報の「駐韓中国大使『韓国の原潜推進に懸念、慎重な対応を望む』」(11月15日、日本語版)が報じました。
中国は、米国による原潜燃料の供給が核不拡散に反するとの認識を示したのです。なお、韓国政府は「原潜の動力は原子力だが、核兵器は搭載しないので核兵器不拡散条約(NPT)違反には当たらない」と主張しています。米国から攻撃型原潜を導入する豪州の先例を盾にするつもりです。
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