「娘の遺体は顎が外れ、指先はミイラ化して…」 裁判員裁判で「刺激証拠」が排除されている! 遺族が語る無念

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遺族たちの無念の思い

 裁判員裁判が導入されてから今年で16年を迎えた。裁判員の辞退率は直近(今年6月末)で67.7%と、導入当時の53.1%から高止まりが続いている。刺激証拠が法廷に持ち込まれれば、この数字はさらに上がるかもしれない。しかし同時に、イラスト化が続けば、刑事訴訟法第1条に明記された「真相の解明」という裁判の目的が揺らぐ危険性も孕(はら)んでいる。そして何よりも被害者の、法廷で涙をのんだ遺族たちの無念の思いが、蔑(ないがし)ろにされているのではないか。

 語ることを許されない遺体は、司法の場で2度葬られることになる。

水谷竹秀(みずたにたけひで)
ノンフィクション・ライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒。2011年、『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。他に『ルポ 国際ロマンス詐欺』(小学館新書)などの著書がある。10年超のフィリピン滞在歴を基に「アジアと日本人」について、また事件を含めた現代の世相に関しても幅広く取材を続け、ウクライナでの戦地ルポも執筆。

週刊新潮 2025年11月20日号掲載

特別読物「遺体写真、凶器、現場の映像…裁判員裁判で『刺激証拠』が排除されている」より

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