水族館で会えるラッコは日本でもう2頭だけ…“ご長寿アイドル”メイとキラ 「動画もいいけど生で見に来て」

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 チャンネル登録者数33.2万人以上、お誕生日配信の再生回数は13万回超え――と言っても、どこぞのインフルエンサーやVTuber界隈の話ではない。お腹の上で貝を割る、あの愛くるしい動物。そう、海のアイドル、ラッコの動画配信が、日本中を癒しているのをご存じだろうか。

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 ほっぺに前肢を当ててムニムニしたり、飼育係さんの肩をトントン叩いたり……こんなかわいい生きものが存在して良いのか! ただ丸まって寝ているだけ、水の中をゆらゆら行ったり来たり泳いでいるだけでも尊い……。こんなけしからんコンテンツを24時間ライブ配信しているのは、三重県・鳥羽市の鳥羽水族館。実はここ、日本でラッコに会える唯一の水族館(2025年11月現在)なのだ。

 かつては、日本全国の水族館で120頭以上も飼育されていたラッコだが、現在は、鳥羽水族館で暮らすアラスカラッコのメイちゃんとキラちゃんのみ。2頭はそれぞれ21歳と17歳のメス。かなりのご長寿ではないだろうか。

「飼育下のラッコの平均寿命は20歳前後。これからも元気で、より長く活躍してほしいと思っているので、健康管理には気を使っています。一番は無理をさせないこと。トレーニングでいつもできることが出来なかったりすると、何か不調がないか、飼育係が判断して臨機応変に対応しています。トレーニングは健康チェックの一環なのです」(広報・村上さん、以下同)

 メイちゃんとキラちゃんは、三角コーンを抱えて高速で回転したり、使ったおもちゃを飼育係さんに渡したりと芸達者。飼育係との息もピッタリだ。

激しい交尾も経験

「ラッコは、個体ごとに性格の違いがみられる、賢い動物かなと思います。メイは、おてんばでいたずら好き。臆病な一面もありますが、動きは活発。一方、キラは、おっとりしてマイペース。寂しがり屋のメイが、キラの後をついて回ったりしている様子も見られますよ」

 キャラの異なるメイ&キラ。互いに毛づくろいする様子や、並んでくつろぐ姿は姉妹のようで愛おしさが止まらない。

「性格も違いますが、見た目も違います。見分け方で言うと、ラッコは個体にもよりますが、年齢とともに身体の一部が白くなっていく特徴があり、メイはキラよりも白い部分が多い。キラは、メイと比べると毛色が濃いです。また、メイの鼻には白い傷があります。この傷、実は交尾の際に、興奮したオスにつけられたものなんです」

 なんと、癒し系アイドルのイメージにそぐわない、激しい一面も。ラッコは交尾の激しさで知られる動物だそうで、交尾の際には、オスがメスの鼻に噛みつき、後ろから羽交い絞めにするのだとか……。

「ラッコは、カニやイセエビを殻ごとバリバリ食べます。噛む力がとても強いんです。メイとキラがケンカしているのを見たことはありませんが、もしケンカになったら激しいと思いますよ。実際に、腕を噛まれてしまった飼育係もいますから」

 お気に入りの飼育係さんをめぐっての、女同士の激しいぶつかり合いなどはあるのだろうか。

「とくにありません。ラッコが飼育係についてどう思っているのかわかりませんが、いつもご飯をくれる存在とは認識しています。飼育係によって対応を変えることも。ベテランではない若い飼育係が来た時は、いつもの種目の時間がちょっと短いとか……手を抜くというか、この程度でいいか、といった感じで流しているのを見たことがあります(笑)。相手によって態度は変えていると思います」

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