「少女を模したラブ・ドールを違法販売」 大炎上の「SHEIN」パリ出店、32歳社長が語った思い 「多くの批判があるのは事実ですが…」
【全2回(前編/後編)の前編】
中国発のインターネット通販サイト「SHEIN(シーイン)」をご存じだろうか。フランス政府が違法商品の販売を問題視して、先日、同社に一時的な運営停止を命じたことが話題になっている。日本でも若者を中心に浸透する中国系ネット通販、その実態とは?
***
【実際の写真】「ラブ・ドール」に「発がん性の下着」も… ウェブであり得ない商品が売られていた「SHEIN」の店舗
フランス・パリ4区はノートルダム大聖堂やポンピドゥー・センター(国立近代美術館)など、日本人にもなじみのある観光名所が集まるパリ市の中心地だ。その地が騒然とした雰囲気に包まれたのは、11月5日のことだった。パリ市庁舎の向かいに立つ、1860年創業の老舗百貨店「BHVマレ(ベー・アッシュ・ヴェー・マレ)」前の路上に数十名の活動家が参集。デパートの前に列をなす買い物客に「並んでいる人間は恥を知れ」とシュプレヒコールを上げたのである。
「騒動の原因は5日午後1時、BHVの6階にファストファッションブランドで中国系ネット通販大手SHEINの世界初となる実店舗がオープンしたことです」
とは、在仏国際ジャーナリストの広岡裕児氏だ。
「BHVは経営不振に陥り、2年前にSGM(ソシエテ・デ・グラン・マガザン)という不動産会社に経営が譲渡されています。そのSGMがBHV再建の切り札としてSHEINを誘致したのです。狙いは的中して、オープン当日は、数千人が長蛇の列を作りました。私が週末の日曜日に店を訪れた際も盛況で、入場制限がかかっていました」(同)
「少女を模したラブ・ドールが……」
だが、冒頭にも触れたとおり、反応は好意的なものばかりではなかった。活動家の一人が「ラブ・ドールを売っているSHEINは恥を知れ」と抗議。警察に連行される場面もあった。
「実際、SHEINのマーケットプレイスでは少女を模したラブ・ドールが違法販売されており、開店の2日前にはフランス当局が捜査を開始しています。それもあって、国内には出店を疑問視する向きも多いのです。捜査を受けて、政府はフランス向け販売サイトの一時的な運営停止の手続きに入りました」(広岡氏)
騒動の渦中にあるBHVの社長は、広岡氏の取材にこう答えた。
「ここはフランスですから、抗議活動が起こるのは珍しくないと考えています。多くの批判があるのは事実ですが、お客様にはご好評を頂いております。SHEINにとってフランスは世界最大級の市場の一つであり、国内には約2500万人の顧客がいます。BHVへの出店の成否は、1年後に判断すべきでしょう。最終的な評価を下すのは、消費者だと思います」
[1/3ページ]



