新アルバムに「AI導入」が話題の「松任谷由実」…令和の若者にこそ知ってほしい「恋愛の教祖」の凄すぎるキャリア 空前絶後の“ギネス記録”とは

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ユーミンの凄すぎる全盛期

「『岩礁のきらめき』や『天までとどけ』など、アルバムの収録曲中心でしたが、昔の曲は『ベルベット・イースター』、『ひこうき雲』、『やさしさに包まれたなら』などを歌い、ダブルアンコールで『卒業写真』を歌ってくれたのはうれしかったですね。ただ 、 ちょうど、その時期からユーミンを聞き始めたファンとしては、もっと“黄金期”の楽曲を聴きたかったです」(公演初日を鑑賞した50代の女性ファン)

 1972年に荒井由実の名義でデビューし、76年の結婚以降は松任谷へ改姓したユーミンだが、その黄金期は、90年代半ばに入ってから到来した。

 まず、オリジナルアルバムは81年11月発売の「昨晩お会いしましょう」から、97年2月発売の「Cowgirl Dreamin'」まで17作連続でオリコンランキング1位を獲得。シングルでの同ランキングでの1位獲得は、92年まで23枚を発売した中で75年10月発売の「あの日にかえりたい」のみだったが、93年から94年まで発売した「真夏の夜の夢」、「Hello, my friend」、「春よ、来い」は3作連続で1位を獲得した。

「『真夏の-』は社会現象となったTBS系ドラマ『ずっとあなたが好きだった』(92年)のチームが送り出した同局ドラマ『誰にも言えない』、『Hello-』はフジテレビの月9ドラマ『君といた夏』の主題歌に起用されました。そして、『春よ-』はNHKの同タイトルの朝の連続テレビ小説の主題歌に起用され、いずれもミリオン突破のヒット作に。さらに、98年11月に発売したベストアルバム『Neue Musik』は売り上げが320万枚を突破。日本の音楽史に輝かしい金字塔の数々を打ち立てることになりました」(ベテラン芸能記者)

 ほかにも、80年~90年代のスキーブームをけん引することになった映画「私をスキーに連れてって」(87年)の挿入歌「恋人がサンタクロース」は、今でも冬の定番曲となっている。

 そして70年代、80年代、90年代、2000年代、2010年代、2020年代の、「6年代連続」でアルバム1位獲得の記録が、23年9月にギネス世界記録に認定された。こうした音楽活動の功績は国内でも認められ、13年に紫綬褒章を受章し、22年には文化功労者に選出されている。さらに毎年2月には、新潟・苗場での公演が恒例で、自身にとってのライフワークとなっている。

キーが合わない?

 本来ならば、音楽界の大御所として悠々自適に活動していてもおかしくはないのだが、前出の記者によると、ニューアルバムへのAI導入という最先端を行くのに対し、ツアーで“黄金期”のヒット曲を歌わなかった背景に、ある出来事が思い当たるという。

「12年10月から複数回にわたり、東京・帝国劇場で、ユーミンと演劇がコラボした公演が行われました。演劇を上演し、そのバックで歌うという、なかなか斬新な公演で期待してしたのですが、『春よ-』など、キーが高い曲はかなり苦しそうな様子でした。全盛期の作品は高音の曲が多く、キーを合わせるのは難しいのかもしれません。ツアーでは、歌手としての矜持をアピールし、荒井由実時代からの歌声は後世に残したいとの思いからAIを導入したのではないでしょうか」(先の記者)

 ツアーでのAI導入はならなかったが、22年大みそかの「第73回NHK紅白歌合戦」では、AI楽曲の「Call me back」を披露している。今年の紅白歌合戦の企画でニューアルバムの楽曲を歌い、進化版ユーミンを披露してくれる可能はあるかもしれない。

デイリー新潮編集部

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