コメ価格が最高値を更新でも…鈴木農水相「価格はマーケットが決める」に疑問の声 「小泉進次郎コメ担当大臣のほうがマシ」だったのか

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 第1回【コメ最高値で「5キロ5000円」に嘆きの声も…倉庫に“大量の新米”がダブつく業者の懸念はコメ価格“大暴落のXデイ”】からの続き──。鈴木憲和・農林水産大臣は10月22日、就任会見でコメの価格に関して「マーケットの中で決まるべきものだろうと思います」と発言した。その後、鈴木農水相は何度も「マーケット」の単語を使っている。何か思い入れがあるのかもしれない。(全2回の第2回)

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 鈴木農水相は「高騰したコメの価格を下げる」政策よりも、「コメ価格の下落・暴落」を防ぐ方針を強く打ち出している。

 その方針は早くも大臣就任会見で明確に示された。鈴木農水相は、いたずらにコメの生産を増やせば供給過剰となり、「マーケットメカニズムで米価は下がる」との危惧を示したのだ。その後の大臣会見も振り返っておこう。

「最後はマーケットで決まっていく」(10月24日)

「価格というのは、まさに需給のバランスとマーケットで決まる」(同)

「価格については、まさにこのマーケットでしっかりと決まっていく」(11月11日)

「いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものであります」(11月18日)

 どの発言からも鈴木農水相の“信念”が垣間見えて興味深いが、消費者にとって特に重要なのは11月18日の発言だろう。担当記者が言う。

「農林水産省は11月14日、『3日から6日までの週、全国のスーパーでコメ5キロは平均4316円で販売され、過去最高を更新した』と発表しました。18日の大臣会見で記者がコメ高騰に関する受け止めを質問すると、鈴木農水相は『いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものでありますので、大臣としての立場で何か申し上げません』と明言を避けたのです」

鈴木農水相は「無為無策」か?

 経済学の祖、アダム・スミス(1723~1790)は「自由競争によって見えざる手が働き、最大の繁栄がもたらされる」と主張した。

 鈴木農水相も同じ考えを会見で繰り返し示していると見ていいだろう。だが、「コメの価格はマーケットで決まるのだから、私は何もしない」との発言にも聞こえる。実際、ネット上では鈴木農水相がコメの高騰に「無為無策」だという批判は多い。

「何しろ平均価格が4316円と言っても地域差があります。都市部であればコメ5キロは5000円台が当たり前で、6000円台さえ散見されるのです。とてもではありませんが物価上昇に苦しむ消費者が買える価格帯ではないでしょう。困った一部の消費者は5キロ3000円台のカリフォルニア米にシフトしていますし、大多数は麺類で炭水化物を補っています。特に人気なのはパスタとうどんです。Xでは『スーパーでコメの棚は誰もいないのに、パスタの棚には人だかり』、『バスタ売り場が倍の面積になった』、『パスタソースに使うトマト缶が売り切れ』、『うどん玉の争奪戦が起きている』という投稿が次から次へと表示され、大規模なコメ離れが急速なスピードで起きていることが分かります」(同・記者)

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