コメ価格が最高値を更新でも…鈴木農水相「価格はマーケットが決める」に疑問の声 「小泉進次郎コメ担当大臣のほうがマシ」だったのか

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1割しか増えなかった収穫量

 一方、頭を抱えているのがコメの卸業者だ。今秋にコメの争奪戦が起き、集荷業者は農家からコメを高額の価格で買い集めた。ところが消費者は5キロ5000円のコメには明確に“NO”を突きつけ、誰もコメを買わない。

 結果、新米は“不良在庫”と化し、卸業者の倉庫に山のように積み上がっている。こんな状態が永遠に続くはずがない。資金繰りが苦しくなった卸業者は損を承知でコメを安値で“投げ売り”し、遂にコメの暴落が始まる──。

「小泉進次郎・前農水相はコメ増産の方針を明確にしていました。ところが10月に退任し、新しく就任した鈴木農水相は増産によるコメ価格の下落を嫌って増産の方針を撤回しました。ここで注意したいのは工業製品とは異なり、農作物は簡単に増産できないということです。今秋の収穫量は746万8000トンで、昨年の1割しか増えていません。これではコメの価格が劇的に下がるはずもなく、価格が高騰したわけです」(同・記者)

 今秋のコメの収穫量は需要量を充分に満たすことができなかった。その結果、鈴木農水相が繰り返し指摘した通り、マーケットメカニズムが働いてコメの価格は高騰した。

 コメ価格の下落を何よりも嫌い、マーケットメカニズムを重んじる鈴木農水相には納得できる状況なのかもしれない。だが、消費者は「5キロ5000円のコメは高すぎるから買わない」と決断した。そのため完全に局面が変わってきている。

“マーケットメカニズム”でコメ暴落

「経済学には『代替財』という考えがあります。経済学の教科書にはバターとマーガリンの関係が書かれています。例えば牛肉が高ければ、消費者は豚肉や鶏肉を選ぶでしょう。気候異常でコーヒーが高騰すれば、紅茶や緑茶が売れるはずです。そしてコメが高騰したため、消費者は麺類やパンを代替財として購入しています。その結果、コメの需要は急減してしまいました。過去最高の価格に達したコメは行き先を失い、暴落寸前の状況を迎えています。皮肉なことに、この状況も鈴木農水相が偏愛する“マーケットメカニズム”が生んだものなのです」(同・記者)

 第1回【コメ最高値で「5キロ5000円」に嘆きの声も…倉庫に“大量の新米”がダブつく業者の懸念はコメ価格“大暴落のXデイ”】では、卸業者がメディアの取材に対して「コメは誰も買わない。スーパーで売れているコメはカリフォルニア米」と激白した事実や、今年の年末か来年3月にコメの暴落が始まるとの予測が広まっていることなどについて詳細に報じている──。

註:(揺れるコメ改革)米価、見えぬ安定 高値で仕入れ、暴落を警戒(朝日新聞朝刊:11月4日)

デイリー新潮編集部

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