妻は不在、子どもは就寝中の自宅で「かくれんぼ」逢瀬 “愛されなかった過去”が暴走させた?40歳夫の家庭崩壊

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【前後編の後編/前編を読む】男の子なのに“服はピンク”で“赤ランドセル”…母は「女の子のはずだった」 人妻に迫られて吐き気を覚えた40歳夫のトラウマ

 里田謙太郎さん(40歳・仮名=以下同)は、「母に愛されなかった」幼少期を送った。その体験は心に暗い影を落とし、家庭教師のアルバイト先の人妻から誘いを受けたときは、心が動かないばかりか嫌悪感すら覚えてしまったという。女性について「ビビり」だった謙太郎さんだったが、仕事で知り合った紗絵さんには心を許し、28歳のときに結婚。だが目下、自宅に女性を引っ張り込んだことがバレ、家庭は大変なことになっているという……。

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 結婚を考えたとき、謙太郎さんは自分の特殊な家庭環境について、紗絵さんに告白した。紗絵さんは目に涙を浮かべて「少年だったあなたを抱きしめたい」と言った。その反応が決め手になった。

「その少し前、結婚した職場の先輩の家に招かれて同僚と一緒に行ったんです。新婚家庭らしい温かい雰囲気があって、先輩は率先して料理をしたり皿を揃えたりしてもてなしてくれた。奥さんも先輩に『あなたの友だちなんだから、料理は私がするわよ。あっちでくつろいでいてよ』と言ってる。『オレの友だちだからオレが料理するんだよ』と先輩も言ったりして。ああ、お互いにさりげなく相手を気遣ってるんだな、こういうのっていいなあと思ったんです。紗絵とならそれができる。家庭をもつのは怖かったけど、僕の心の中にはずっと孤独感があったから、誰かと一緒に生きていきたいとも思い始めていた」

 タイミングがよかったのと、紗絵さんとの相性がよかったのだろう。ただ、結婚式に両親や兄を呼ぶ気はなかった。それを慮って、紗絵さんは結婚式をせず、友人知人を呼んでのパーティをしようと言ってくれた。彼は紗絵さんの両親に挨拶には行ったものの、さすがに自分の育った家庭については話せなかった。事前に紗絵さんからある程度のことを聞いていたらしい両親は、「あなたたちはもう大人だから、何もかも好きなように決めなさい。私たちに遠慮はいらない」と言ってくれた。こういう親もいるんだと、謙太郎さんはまた驚いた。

 帰り際に母親は、「あなたたちは自由に暮らして。でも遊びに来たいときはいつでも歓迎よ」とにっこり笑った。謙太郎さんは泣きそうになったという。

紗絵さんとの“夜”にも苦慮

 結婚生活は、お互いの価値観をすりあわせなければならないが、彼は家庭に対する価値観というものをほぼ持ち合わせていなかったため、紗絵さん主導で家庭を築き始めることに何ら抵抗がなかった。

「ひとつひとつ話し合って決めていったし、きっちりルールを作ってがんじがらめになるのも嫌だから、ゆっくり家庭を作っていきましょうと紗絵は鷹揚な感じでした」

 怖かったセックスについても、紗絵さんは彼の気持ちを大事にしてくれた。彼にあまり経験がないと踏んだのだろう、したくなければしなくてもいい、焦らないでほしいと言った。結婚してから何度もトライしたものの、彼の準備がふじゅうぶんでなかなかうまくいかなかったのだが、1ヶ月後、ようやくきちんとすることができた。

「いざとなると家庭教師時代の女性とか、母親の顔とかが出てきて萎えてしまう。その繰り返しでしたけど、あるときとうとう無事にできて……。うれしかったですね」

 男としてようやく一人前になれた気がした。同時に「こんなに楽しいものだったんだ」ということも実感した。28歳で初めての経験をすると、しばらくは「そのことばかり考えてしまう」ほど熱中したという。

「そうしたらすぐに紗絵が妊娠して。そうなるのはわかっていたけど、しばらくは紗絵もつわりがひどかったので、やんわりと拒否された。苦しんでいる紗絵に無理矢理迫ることもできなかったから、生まれて初めて風俗に行ってみました。罪悪感はありませんでしたね。行かなければ紗絵に無理強いするかもしれない。そのほうがずっと罪深いでしょう」

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