妻は不在、子どもは就寝中の自宅で「かくれんぼ」逢瀬 “愛されなかった過去”が暴走させた?40歳夫の家庭崩壊
また風俗に通ってしまう そんな折…
娘が8歳、息子が5歳になったころ、紗絵さんが仕事を再開した。1年ほどは契約で、その後は正社員となったが、基本的に残業はそれほどなかったため、謙太郎さんにとってはそれまでと大差はなかった。ただ、実際には紗絵さんの負担は相当なものがあっただろう。
「週末は紗絵に、美容院でもエステでも行ってくればいいよ、子どもたちは僕が見ているからと勧めたんですが、紗絵はあまり自分のために時間やお金を使おうとしなかった。それならみんなで外食しようとか、みんなで家で餃子を作ろうとか、家族でいることを優先してくれました。僕も家族でいるのが好きだったと、そのころは思っていました」
何がいけなかったんだろうと彼は当時をよく思い出すのだが、これと思い当たる節はない。ただ、だんだんと「仲よし家族」の一角を担っていることがつらくなってきたという。ふと気づくと、「どうしてオレはここにいるのだろう」「この子たちを育てて、結局、どうなるんだろう」と言いようのない違和感に囚われるようになった。もちろん、それは妻には言えない。
「いつしか足がまた風俗に向いてしまった。ただ、今度は風俗が物足りない。そんなとき出会ったのが優奈です。彼女は実は、僕が結婚前に遊びに行った会社の先輩の奥さん。偶然、風俗で出会ってしまった。もちろん先輩は、妻が風俗で働いているとは知らない。お願いだから内緒にしてと言われました。どうしてここで働いているのかと聞いたら、『私の両親がふたりとも大病をし、父は施設にいるのでお金がかかる。夫に出してもらうのも申し訳ないし、子どもに不自由もさせたくない』と泣きながら言うんです。その日は何もせずに帰りました。優奈は数日後に連絡をくれて、いろいろ相談に乗ってほしいと言う。頼れるのはあなただけと言われてその気になってしまった」
「じゃあ、うちに来る?」
ときどき会ってお茶したり軽い食事をしたりするだけの関係が続いた。優奈さんは明るくたくましかったが、「こんなふうに会っていたらいけないわよね、私たち。人目もあるし。でもあなたに会えないのはつらい」と涙ぐみながら言ったことがあった。
「その日はたまたま、夏休みで妻が子どもたちと実家に戻っていたんですよ。だからなんとなく気軽に『じゃあ、うちに来る?』と言ったんです。彼女の目がキラッと輝いた。行ってみたいわと言うので連れて帰った。本当に軽い気持ちだったんですが、自宅に他人の女性を入れたら、ただの友だちというわけにはいかなくなった……」
彼女はリビングに飾られている家族写真を興味深そうに見ていた。いいわね、うちは子どもがひとりだからちょっと寂しい。でも夫が二人目をほしがらなかったのなどと、さりげない言葉の中に夫への不満が見え隠れした。
「なんというか、自宅に彼女がいるということがもう倒錯しているようなものなんですよね。すでに状況がエロいというか。今まで感じたことのないような興奮がありました。彼女もそうだったんだと思う。リビングの床で関係をもちました」
その興奮を、彼は忘れることができなかった。相手の女性の家でそういう関係になるなら、「寝取った」興奮が強くなるのはわかるが、彼の自宅である。彼は寝取ったことで興奮するタイプではなく、牙城を崩されたこと、日常が突然、エロスに満たされることを深く感じとって、そこに刺激を覚えたのだろう。
たまたまその後、義父が体調を崩し、看病疲れで義母も寝込んだ時期があった。妻に実家に行ってくればいいよと寛容なところを見せながら、深夜、優奈さんを自宅に呼んだ。
「夫と子どもが寝ているのを確認してから来たのよといいながら、優奈は興奮していました。僕も別の部屋で子どもたちが寝ている。万が一、子どもたちが起きたら優奈が隠れる場所を確保してからいちゃいちゃしました」
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