妻は不在、子どもは就寝中の自宅で「かくれんぼ」逢瀬 “愛されなかった過去”が暴走させた?40歳夫の家庭崩壊

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“お気に入りの女性”のもとへ通い…そして子どもが生まれた

 大人なんだから理性は効く。自制心は強いほうだと彼は思っていた。だが、彼は一時期、3日にあげず、お気に入りの女性のいる風俗に通い続けた。惚れたわけでもないし、人間としての信頼関係があるわけでもない。だが疑似恋愛の心地よさから抜けられなくなっていた。

「そんな中、紗絵が早産ということになって……。生まれた娘は低体重でした。心配でたまらなかった。夫婦ふたりで毎日、気を揉みました。娘が退院できたときは夫婦で手を取り合って喜んだ。あのとき、紗絵との間の絆が深くなったような気がしました」

 紗絵さんも本当にそう思っていたのだろうかという疑問がふとわいたが、それを口にする意味が見つからなかった。だが、謙太郎さんの風俗通いはそれを機にピタリと止んだ。

 3年後に今度は息子が生まれ、「家庭が完成した」と彼は感じた。

「大変なのはそれからでしたけどね。紗絵はいったん仕事をやめて家庭と子育てに専念すると。僕としては仕事をしてもらったほうがいいような気がしたけど、彼女の意志ですから。ただ、紗絵の両親から、親戚がもっているマンションの部屋があいているので入居したらどうかと打診があったのはありがたかった。まだ家は買えなかったし、賃貸は高い。どうしようと思っていたところだったので、格安で貸してもらえて助かりました」

 彼は自分が子どもとどうやって接したらいいかわからないから、いい父親になる気はなかった。ただ、おむつを替え、泣く子をあやしているうちにどんどん父性愛が出てきたという。とにかくかわいい、赤ちゃんの指に指をからませて顔を見ているだけで時間が過ぎた。それは子どもたちが成長していっても変わらなかった。

「見ているだけでニコニコしちゃうんです、かわいくて。紗絵には躾くらいしてよとよく怒られたけど、ふだんニコニコしているから、僕が本気で『ダメッ』といえば子どもはギクッとする。それでいいと思いました。細かいことは紗絵に任せきりでしたね」

 今思えば、猫かわいがりしていただけで、父親としてはダメダメだから少し後悔はしていると謙太郎さんは言った。紗絵さんも決して口やかましい母親ではなかったが、ダメなものはダメとはっきり教えこんでいたので、彼は紗絵さんを信頼して口を挟まなかった。

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