結局「おあずけ」でがっかり…韓国の原潜計画 合意文書の“誤訳”に見る李在明の苦しい現実
韓国の原潜計画が宙に浮いた。李在明(イ・ジェミョン)大統領が熱望していた原子力潜水艦の自国建造も、ウラン濃縮の権限もD・トランプ(Donald Trump)大統領から「お預け」を食ったのだ。韓国観察者の鈴置高史氏に背景と展望を聞いた。
速報韓国の「王宮」「世界遺産」で中国人が「排便テロ」行為 観光ビザ免除に「60%以上の韓国国民が反対」
韓国建造は「NO」
鈴置:ホワイトハウスは11月13 日(米国東部時間)、「Joint Fact Sheet on President J. Donald Trump’s Meeting with President Lee Jae Myung」を発表しました。
10月29日の韓国・慶州(キョンジュ)での米韓首脳会談の合意事項を文書化したものです。首脳会談から2週間も後の発表です。両国の意見の隔たりがかなり大きかったのでしょう。
韓国大統領室もほぼ同時刻の韓国時間11月14日に「韓米 関税・安保分野ジョイントファクトシート」(韓国語)を発表しました。
注目点は首脳会談で李在明大統領が要求した原潜保有に関し、米国が韓国での建造を許すかどうか、でした。結果は「NO」。米国はファクトシートで以下のように記しました。
・The United States will work closely with the ROK to advance requirements for this shipbuilding project, including avenues to source fuel.
「米国は韓国と緊密に協力し燃料調達方法を含め、この造船プロジェクト案件を進展させる」と表明しました。しかし、李在明大統領が要求した「韓国での建造」とはどこにも書かれなかったのです。
左派系紙でさえ疑問符
この件に関しては、トランプ大統領は10月30日朝(韓国時間)にSNSで「フィラデルフィアの造船所で造ることになる」と表明済みです(「トランプから『原潜保有』を許された韓国 宿願だが…浮かれていられない“2つの障害”」参照)。
その後、米韓両政府は建造場所を巡り交渉してきた模様ですが、ファクトシートに記載がないことから、少なくとも現時点では米国は韓国での建造を認めていないということでしょう。
朝鮮日報の「魏聖洛『原潜は韓国建造で整理されたと見る』…ファクトシートには言及無し」(11月15日、韓国語版)によると、11月14日に大統領室の魏聖洛(ウィ・ソンラク)安保室長は「首脳会談で米国建造の話は出なかったので、建造場所は一応、[韓国に]整理されたと思う」と語りました。
ただ、この記事は続けて「会談後にトランプ大統領が『フィラデルフィアの造船所で建造する』と発言しただけに[どこで建造するかの]問題はまた浮上しうる」と解説しています。
東亜日報の社説「原潜、濃縮・再処理は大枠で合意…同盟現代化の本格協議はこれから」(11月15日、韓国語版)も韓国建造は約束されていないと指摘、政権の楽観論を諌めました。
・安心するのは早い。原潜にしても、大統領室は国内建造が前提だとしたが、ファクトシートには明記されていない。
左派系紙、ハンギョレでさえ、社説「不確実性委を解消した韓米ファクトシート、今後の交渉も『国益極大化』で成果出せ」(11月14日、韓国語版)で「韓国建造」に疑問符を付けました。
・今回の交渉を通じて再び確認された「冷酷な現実」は、米国が核拡散に依然として極めて慎重という事実だ。原潜建造という「成果」も多くの部分が空白として残されている。
[1/4ページ]


