公明党の連立離脱で「自民50議席減」の試算も 永田町でささやかれる「早期解散説」の現実味

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 公明党からまさかの“離縁”を伝えられた際、高市早苗首相(64)は思わず絶句したという。好調な内閣支持率を背景に「早期解散説」が永田町で囁かれるなか、「公明党抜き」の影響は首相も考えずにはいられまい。公明党・創価学会票を失うことで自民党は「50議席減」との試算もあるが、次の総選挙はどうなるのか。

※本稿は「週刊新潮」2025年11月13日号の特集記事【公明・創価学会票が消えて自民党は50議席減だったはずが… 永田町で早くも流れる早期解散説】の一部を再編集したものです。

 10月下旬に立て続けに外交日程をこなした高市首相は、国際会議で孤立し“ぼっち”と揶揄された石破茂前首相とは対照的に、積極的な外交姿勢を存分にアピールした。

 11月上旬の世論調査で高市内閣の支持率はさらに高まり、発足当初からの勢いに拍車がかかった。政権に追い風が吹く状況のなか、永田町では「早期解散説」がまことしやかに囁かれているという。

 政治部記者が語る。

「来年度の予算編成などで慌ただしくなる年末は解散・総選挙が避けられる傾向にありますが、今の高市内閣の支持率は歴代でもトップクラスです。自民党重鎮の一部からは、この人気が落ちないうちに解散し、単独過半数を取り戻せばいいという声が上がっています。実際、高市さんが敬愛する安倍晋三元首相は2014年11月に解散を行い、自公で過半数の議席を維持、長期政権に繋がったという例もあります」

 こうした鼻息の荒い党内の意見に対して、高市首相は冷静を装う。

 外遊先で開いた記者会見で衆院解散について「考える暇はない」と一蹴。日本維新の会の藤田文武・共同代表も同様に否定的見解を示している。

「諸刃」の“伝家の宝刀”

 にわかに降って湧いた“伝家の宝刀”を巡る風説を、元自民党本部事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏はこう分析する。

「今の高市内閣の支持率は、あくまでも『何かやってくれそう』という期待感によるものです。組閣をして一時的に支持率が上がると、常に早期解散を訴える人が一定数出てきます。ただ、選挙というのは実績をつくってそれを強く訴える“攻め”の姿勢でなくては勝つことができません。私が見てきたなかでも、選挙に勝つのは公約した政策を実現できた政権でした。高市政権も何らかの成果を出さなくては、せっかくの支持率も期待はずれに終わってしまいます」

 性急に解散説を唱えるのは、政策実現能力の欠如を自ら暴露するのと同じだというのだ。

 この言葉に耳が痛いのが、石破前首相だ。10月末の記者会見で「与党の強い要望に屈し、就任直後に解散したのは痛恨事だった」と振り返った。

 これに対し久米氏は、

「解散を最後に決定するのは首相自身ですから、周りのせいでというのは如何なものかと思いますね。“政治とカネの問題が敗因”というようなことを石破さんは述べていますが、それなら党改革という実績を出してから解散すればよかった。理屈を通す石破カラーも早期解散で損なわれ、大敗を喫しました。全ては高市さんの腹の中で解散のタイミングは誰にも読めないとはいえ、そうした早期解散のデメリットは彼女もちゃんと頭に入れているはずです」

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