ふるさと納税の問題点を菅元総理に進言して“左遷”されたエリート官僚も… 専門家は「制度自体が憲法違反」

国内 政治

  • ブックマーク

エリート官僚の異例の人事

 結局、平嶋氏は局長就任からわずか1年で、自治大学校の校長へと飛ばされた。将来の事務次官候補だったエリート官僚の異例人事。霞が関では菅氏による左遷だとささやかれた。

「当時、総務大臣だった高市早苗さんに“ちょっとアンタ、菅ちゃんとの間にふるさと納税で何があったの?”と聞かれたんです。高市さんは事務次官と練りに練った総務省の人事案を官邸に持っていったら、私の名前だけペケマークがついていたと。菅さんは“ふるさと納税に不熱心だからだ”と答えたそうです」

 俗にいう菅氏の“官僚支配”を平嶋氏は肌身で感じてきたというわけだ。

「私の一件で、総務省内はちょっとおびえてしまい、ふるさと納税に下手に触るとまずいという空気になった。もともと、菅さんは自分が始めた政策として手柄のように思っている。私のような人間は“俺の手柄に傷をつけてきやがった”と思われていたのでしょう。菅さんは寄附金1兆円を達成した後、今度は2兆円だと構想を披露しているそうですが、ここで歯止めをかけられなかったら、日本はどうなってしまうのか」

 猫も杓子(しゃくし)も利用する制度とあっては、国会でも野党でさえ暗部に触れず頬被り。いったいこの国は、いつから当たり前の話ができなくなってしまったのか……。

 前編【「ふるさと納税」寄附金のうち約5900億円が経費として消えていた! 「富裕層ほど得をする」指摘も】では、寄附金のうち約5900億円が経費として消えている問題など、ふるさと納税が抱える諸問題について報じた。

週刊新潮 2025年10月23日号掲載

特集「利用者『1000万人』は目をつぶる 『ふるさと納税』の暗部」より

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。