なぜ「国宝」「宝島」は3時間上映でも“休憩”がないのか…昔の長尺映画に“必ず”休憩があった納得の理由
3時間超作品がぞろぞろ
「国宝」(李相日監督)2時間55分、「宝島」(大友啓史監督)3時間11分……今年は、休憩なしで3時間前後の、いわゆる「長尺映画」の公開がつづいている。
【写真を見る】公開間近も含め、まだある「3時間超」作品から「世界最長」作品まで
「長さを感じなかった」「やはり、途中でトイレ休憩がほしい」――まさに百家争鳴だが、この11月7日から公開される話題のフランス映画「モンテ・クリスト伯」(マチュー・デラポルトほか監督、2024)は、これまた2時間58分の長尺映画。「国宝」と、ほぼおなじ尺である。しかも、休憩なし。
ひと足早く、試写で鑑賞した芸能記者の話。
「文豪デュマの原作にもとづく、おなじみの文学作品の映像化です。岩波文庫で全7巻もある長い話ですが、うまくダイジェストされている分、濃厚な展開になっており、約3時間、あっという間でした。今年は『国宝』『宝島』と、話題の作品が続いたので、休憩のない長尺映画に、慣れてきたような感じもします」
しかし――むかしは長尺でも休憩のある映画が多かった。「史上最大の作戦」(2時間59分)や「パットン大戦車軍団」(2時間52分)は、「国宝」とほぼおなじ尺だが、休憩があった。「マイ・フェア・レディ」(2時間53分)、「サウンド・オブ・ミュージック」(2時間54分)も休憩があった。
(上映時間は、劇場公開版やDVD、配信などによって、若干の違いあり)
日本映画でも、「黒部の太陽」は3時間16分で、「宝島」とほぼおなじだが、休憩があった。黒澤明作品も長尺が多く、「七人の侍」(3時間27分)も、「赤ひげ」(3時間5分)も、休憩があった。
「2001年宇宙の旅」に至っては「たった」2時間22分で、「国宝」よりずっと短いのに、休憩があった(この映画には上映前に「入場音楽」、終映後に「退場音楽」まであった)。
なぜ、むかしの映画は休憩が多かったのだろうか? むかしのひとは、いまよりもトイレが近かったのだろうか?
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