中国が「Kビザ」導入で、年間10万人超「日本への留学生」がさらに増加の可能性 「在日中国人」も100万人突破が秒読みに
中国で世界のトップ大学の理工系の若手高学歴人材を呼び込むための新しい査証(ビザ)「Kビザ」が10月1日から導入されたが、これに中国内の若者から激しい反発が起きている。中国では、若者の失業率が約19%にも上るほど、ただでさえ高学歴の若者が職探しに苦労している。これまでも、日本での就職を目的に多数の中国人留学生が日本に入国していたが、中国が新たに導入したKビザにより、就職難の中国人の若者が一層、日本に押し寄せる可能性も排除できない。中国人留学生は昨年1年間で12万人以上、昨年までの9年間で134万人が来日しているのに加え、中国人移住者は来年には100万人を突破するとみられるだけに、中国のKビザ導入は日本にも少なからぬ影響を及ぼしそうだ。
【相馬勝/ジャーナリスト】
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科学技術、工学、数学などにおける世界のトップ人材を中国に
Kビザは中国に入国する海外の若手科学技術人材に特別に発給されるもので、中国の理系分野での国際競争力を高めることが狙いだ。科学技術、工学、数学などにおける世界のトップ人材が中国で学んだり、ビジネス活動を行ったりすることができることを目的にしたものだ。
Kビザは従来の就労ビザや高度人材ビザとは異なり、雇用先や機関の招聘を必須とせず、入国回数や滞在期間の柔軟性が高い点が特徴。Kビザ所持者は教育、科学技術、文化などの分野での交流活動や起業、ビジネス活動にも従事できる。申請手続きも就労ビザなどと比べて簡素化されている。米国のトランプ大統領が海外からの米国への留学条件を厳しくし、門戸を閉ざすのとは対照的に、中国政府は、外国人材に広く門戸を開いているというメッセージを世界に発信することを狙っているようだ。
中国共産党機関紙「人民日報」系国際問題紙「環球時報」は、「Kビザの所持者は入国後、教育・科学技術・文化分野での交流や起業・ビジネス活動に従事できる。Kビザの発給は中国のビザ利便化がより広範囲に及ぶことを意味し、より開放的で自信に満ちた新時代の中国を世界に示している」と中国政府の意向に沿った解説を展開している。
若者はKビザに強い反発
しかし、中国政府の説明とは裏腹に、中国国内では、Kビザへの反対論がSNSの話題の中心となっており、ビザ関連のハッシュタグの閲覧回数は10月3~4日の2日間で約5億回に達したほどだ。中国では、若者の失業率が19%近くまで上昇し、過去最高の1220万人の新卒者が厳しい経済状況の中で職を求めて競争している。こうした状況で、若い求職者が直面する根深い課題を指摘する声が数多く寄せられている。
SNS上では、「(修士号取得者で)就職に苦労している人たちがこんなにたくさんいるのに、(海外から)もっと優秀な人材を呼び込もうとしているのか」というコメントが投稿されると、数千の「いいね!」が集まるなど、国内のナショナリズム高揚や外国人嫌悪を反映したような見解が出ており、若者たちの不満が強いことを表している。
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