中国が「Kビザ」導入で、年間10万人超「日本への留学生」がさらに増加の可能性 「在日中国人」も100万人突破が秒読みに
反体制の「白紙運動」再びも
今後、これらの政府への不満が募って、「白紙運動」などのような反政府運動が再び突然、展開されることも考えられる。白紙運動とは、2022年11月から12月にかけ、大学生を中心とした若者が何も書かれていない白い紙を持ち、政府のゼロコロナ政策を批判、中国共産党の自由抑圧姿勢を強く攻撃した一連の抗議行動である。
実際、若者への影響力が大きい著名な時事問題コメンテーター、胡錫進氏はSNSへの投稿で、「Kビザは、中国国内での雇用創出と並行して実施されなければならない」と述べたうえで、「Kビザをめぐる論争の核心にあるのは、国内の雇用市場の緊張と、若者たちが直面している就職への不安を映し出しているという点だ」と指摘。「特に質の高い雇用という観点から、まずは国内の雇用率を向上させることは、いまの統治にとって極めて重要だ」と強調し、若者の就職率を上げることが先決で、その後、Kビザを導入した方がよいとの見方を示している。
胡氏はかつて上述の「環球時報」紙の編集長だったが、“古巣”の同紙とは真逆の主張を展開しているところに、今回のKビザ問題が若者を強く刺激し、かつての白紙運動のような展開になることを懸念しているとも受け止めることもできる。いずれにしても、Kビザ導入によって、就職難の若者が苦境を一層深くすることだけは確かだろう。
中国人の日本移住100万人に
このようななかで、日本に直接影響する可能性があるのが、就職難の中国を避けて、労働人口が減少しつつある日本に移住する中国人の増加であり、コロナ禍終息以降、年々増加している中国人留学生問題だろう。
これまで、すでに多く報道されているように、日本への中国人移住者と大学などへの中国人留学生が増加しているのは見逃せない問題だ。2026年までに在日中国人の数は100万人を超えると予想されている。いわゆる「潤日本」現象である。潤は中国語の発音で「RUN」なので、英語の「走る」とかけて、「日本に脱出する」という意味だ。
日本の大学に加え、専門学校や大学院、短大などに留学する中国人も増えており、昨年の留学生数は12万3485人で一昨年よりも7992人増えている。昨年の外国人留学生数の36.7%を中国人学生が占め、ネパール(20%)やベトナム(12%)などを大きく上回る最大の留学生グループとなっている。
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