5回もメジャー・デビューした歌心りえ、長い“下積み時代”経て30年越しにブレイク! 50代で全国ホールツアー開催までの「軌跡」と「奇跡」
アルバム『HEARTS』や初のホールツアーに込めた想いとは
前述の「200倍の夢」は歌心りえとしてのソロ・メジャー・アルバム『HEARTS』にセルフカバーされているが、当時よりも伸びやかかつ優美な仕上がりとなっていて、大人の余裕を感じさせる。つまり、自分だけではなく、周囲の人の夢をも引き上げるようなチカラが漲っているのだ。
この『HEARTS』にも、「翼をください」(オリジナル:赤い鳥)、「愛をこめて花束を」(Superfly)、「奏(かなで)」(スキマスイッチ)、「秋桜」(山口百恵)、「瑠璃色の地球」(松田聖子)、「プラネタリウム」(大塚愛)など、昭和・平成の名曲カバーが全12曲収録されている(同時発売の『SONGS』の内容は、インタビュー第1弾を参照願いたい)。
「『HEARTS』のほうは、改めてチャレンジしてみようという曲をディレクターさんと一緒に選んでいます。私からぜひ歌いたいとリクエストしたのは、オフコースの『言葉にできない』ですね。アカペラから始まるアレンジで歌っています。また、安全地帯の曲も大好きなものが多いので、今回『Friend』が歌えてとても嬉しかったです。他のどの曲もオリジナルがすばらしくて、どうやって歌おうかと悩んだのですが、特に倖田來未さんの『愛のうた』は、倖田さんの勢いのある歌声がどうやっても頭の中から離れないほど印象的で。オリジナルを一度リセットするのが難しかったです」
歌心は現在、2枚のアルバムの発売記念となるソロツアー『Sing A Soul』で全国16会場を回っている。コンサートからも元気をもらっているようで、
「終演後に、会場でCDを買ってくださったお客様と握手をするのですが、40代から70代くらいの方が多いですね。中には80代、90代という方もいらっしゃいます。ある会場で、“家族7人でチケットを取りました”っていう方もおられましたが、カップルで聴きに来ている方が多いと思います。奥様と一緒にコンサートに来られたご高齢の男性が“今日は、僕の人生初のコンサートなんです”とおっしゃっていたり、逆に“主人がファンで連れてこられたんですが、最高でした”という奥様がいらっしゃったり……。そうやってファンを増やしていただけるのは、とても嬉しいです!
この全国ホールツアーというのは、もちろん初体験ですよ! どういうふうに受け入れられるのかと、開演前は毎回ドキドキしているのですが、1曲歌うごとに拍手や声援をいただいて、“ああ、私の歌を聴いてくださっているのだ”と、その場にいる幸せをかみしめています。この30年間を振り返って、“途中で音楽を諦めなくて本当によかった。これまでの自分の歌や人生を背負ってここに立たせてもらっているんだ”と実感しています。だから、すべての人に感謝の気持ちでいっぱいです」
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