高市早苗首相で「靖国参拝」はどうなる? 経済政策の足かせになる“重鎮”とは? 政策面を徹底検証
高市氏の経済政策は?
高市氏が精通している分野といえば、経済安全保障を挙げる声も多かろう。
小沢氏によると、
「松下政経塾の時、彼女が国防・軍事について発言するのは聞いたことがありませんが、経済・財政政策、経済安全保障についてはよく言っていました。その部分については今の政策に通じるものがあります」
では、彼女の経済政策とはいかなるものなのか。
「高市さんは『日本列島を、強く豊かに』と訴えています。日本は長らく衰退し、マクロ経済では諸外国にGDPで抜かれ、ミクロ経済では国民の所得・手取りが下がっています。スローガンにある『豊かに』とは、まずは国民の所得が豊かになることを意味しています」
そう解説するのは、京都大学大学院教授で元内閣官房参与の藤井聡氏である。
「『強く』とは、総合的な国力が抜本的に増進し、諸外国と競争できる国家にすることです。そして『日本列島』は、特定の都市部だけが栄えることではなく、北海道から九州、沖縄に至るまで、全ての国民が住んでいる地域において経済も産業も強くなり、豊かな暮らしができるということを意味しています。高市さんは日本をそういう状況にしたいのです」(同)
「責任ある積極財政」とは?
わが国のマクロ経済の現状は、
「物価上昇率が高く、名目成長率も一定程度高いが、実質成長率が低い状況です。これは賃金上昇が物価上昇を上回っていないから起こる現象です。高市さんが目指すのは、実質成長も同時にしっかりできる状況をつくることです」(藤井氏)
そのために高市氏が実施すると述べているのが、「責任ある積極財政」だ。
「『責任』とは、経済成長ができるマクロ状況を政治がつくること。国民が豊かさを享受できるマクロ状況をつくる責任です。また、多くの方が財政状況を懸念しているので、財政が悪化しないよう、責任ある財政改善をしていく、という二つの意味があります」(同)
高市氏は財政規律を無視しているわけではなく、「世界基準」への転換を提唱しているという。
「日本は政府目標としてプライマリーバランス(PB)黒字化目標を掲げてきました。これは税収の範囲内で費用を捻出する考え方ですが、政府目標としてPB黒字化を掲げているのは世界の中で日本だけです」(同)
多くの国が規律としているのは、「債務対GDP比の安定化」。
「これは、経済成長率を上回らないよう(純)債務の拡大率を抑えていくという考え方です。経済成長率が(純)債務の拡大率を上回れば、国債を発行しても債務対GDP比は安定化します。PB規律ではなく、(純)債務対GDP比で考えた方が、国債を発行する上限の値も緩和的になります。高市さんが目指すのは、世界基準の合理的な財政規律に基づいて赤字国債の発行額を管理していくことです」(同)
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