「追浜工場はどうなる?」「新車の投入が減ってない?」 苦境下の「日産」は本当に再建できるのか 46歳CEOに直撃してわかった知られざる経営の内幕

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日産でのキャリア

森永 お話を伺っていると、エスピノーサCEOは本当に日産の車がお好きなんだと感じさせられます。これまでも日産一筋のキャリアを歩んでこられたと思いますが、そもそもどうして日産に入られたのか、きっかけは何だったのでしょうか。

エスピノーサ 1990年代初頭、私が15歳くらいの頃でしょうか。日産は当時、メキシコ内でも有力な自動車メーカーの一つであったとはいえ、パフォーマンスカーとしてのイメージはまだありませんでした。そんなとき、「300ZX(フェアレディZ)」という日産のスポーツカーに出会ったんです。デザインはシンプルで美しく、内装はまるで戦闘機のコックピットのよう。日産はこんな技術のある会社なんだと感動したのがきっかけで、大学卒業後の就職先の候補になりました。

森永 入社後は商品企画や商品戦略の部門が中心でしたよね。そんなエスピノーサCEOから見て、日産の車は何が一番の魅力だと思いますか。

エスピノーサ 日産は、お客様中心で車をつくる会社です。「技術の日産」といわれますが、それは「人のための技術」なんです。自動運転技術が好例です。やろうと思えば無人で走る車自体はすぐにでも世に出すことができるかもしれませんが、お客様の安全が守られる確信がもてるまでは、人の監視を前提にしています。“技術のための技術”を追うことはしません。

 今夏生産を終了した「GT-R」もそうです。世界最速級でありながら、日産が誇る四輪駆動の技術により最も運転しやすく安全な車の一つになっています。こうした「人」を中心とした開発こそが、日産の最も卓越している点です。

森永 どれも人を最優先にした技術なんですね。

エスピノーサ 日産の車は細部にいたるまで、企画や設計の細かい配慮に溢れています。シートに座った瞬間からそれが伝わって、私は自然と笑みがこぼれてしまうんです。そんなワクワクする車を、これからもお客様に届けたい。そしてより信頼される会社になれるよう、これからの人生を捧げていきたいと思っています。

デイリー新潮編集部

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