タカイチに李在明がケンカを売れない3つの理由 「極右政権誕生」に歯がみはするけれど――鈴置高史氏が読む

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「極右のタカイチ首相」に韓国が悲鳴をあげる。だが、李在明(イ・ジェミョン)政権は日本を敵に回せない。米国との関係が悪化し、日本に頼るしかなくなったからだと韓国観察者の鈴置高史氏は喝破する。

謝らないタカイチでは困る

鈴置:やはり、憤怒一色でした。10月4日、高市早苗・前経済安全保障相が自民党総裁に選ばれると、韓国紙は一斉に「極右の首相が誕生する」と激しく不満を表明しました。

 内容は保守系紙も左派系紙も似たりよったりなので、中道保守の中央日報「従軍慰安婦の用語も拒否した“女の安倍”…日本初の女性総理に登る [自民党総裁にタカイチ]」(10月4日、韓国語版)から高市評を引用します。

・靖国神社に参拝すると同時に、「大臣級を『竹島の日』の行事に送らねばならない」との発言に躊躇しない。
・「従軍慰安婦とは不正確な日本語」として、自身と[意見を]同じくする議員の活動により「『従軍慰安婦 強制連行』という文句は教科書から姿を消した」と自慢しもした。

――高市氏のどこが気に入らないのでしょうか?

鈴置:要は、「謝れ」と命じても謝らないからです。例えば慰安婦に関し、韓国は1991年頃から日本に謝罪を要求し始めました。朝日新聞が「慰安婦は強制連行だった」と報じたからです。

 戦時中に大人だった韓国人は強制ではなかったことを知っていました。しかし、当時の盧泰愚(ノ・テウ)政権が日本への技術移転要求の武器に強制連行カードを使ったので、本当のことは言いだせませんでした。この辺りは『韓国消滅』第4章第2節「植民地になったことなどなかった」に詳述してあります。

 結局、強制連行の証拠は韓国でも日本でも見つからなかったのですが、宮沢喜一政権は「日本軍の関与があった」としてお詫びと反省を表明する河野談話を1993年に発表しました。うるさい韓国に根負けしたのです。「河野」とは当時、官房長官だった河野洋平氏――河野太郎・前デジタル相の父親――です。

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