「妊婦の腹を切り裂いて胎児を取り出す場面も…」 日本を徹底的に悪者に描く反日映画「731」 その無茶苦茶な内容とは
中国では「抗日戦争勝利80年」に合わせた国威発揚が盛り上がりを見せている。昨年9月、深センで起きた日本人男児刺殺事件から約1年、9月18日公開の映画「731」もまた恐るべきことに隅から隅まで反日一色。だが、その中身は失笑を禁じ得ないものだった。
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中国では今夏、例年にもまして力の入った反日映画が相次いで公開されているという。かの地で反日が人気を博すことはすでに知られた事実。だが、このたび“大本命”がやってきた。
9月18日に公開された映画「731」である。初日の興行収入だけで60億円を突破し、21日までに230億円を超える大ヒットとなっているのだ。
731とは第2次世界大戦期の大日本帝国陸軍に実在した研究機関「731部隊」を指す。満州に拠点を置いたこの機関は、秘密裏に細菌兵器を研究し、捕虜を使っての人体実験も行っていたとされる。
極寒の満州で下駄?
上映時間約120分の本作は、731部隊の残虐性をひたすら描き出そうとする作品だ。中国事情に詳しいフリーライターの西谷格氏によると、
「9月18日は満州事変の発端となる柳条湖事件が起きた日で、日本でいえば広島に原爆を落とされた8月6日のようなシンボリックな日付です。この日に公開を合わせてきたことには強い反日の意志を感じます」
映画の主人公は、中国人の中年男性。外国人相手に浄水器を売ろうとするが、それは日本陸軍から盗んだ品だった。軍にバレた主人公は731部隊の「特設監獄」に強制連行され、以降、おぞましい実験の数々を目撃することになる。
「題材が題材なので、シリアスなドキュメンタリータッチの恐怖映画だと思い、恐る恐る見に行きました」
と言うのは、さる日本人ジャーナリストだ。
実際、現地のポスターなどにも〈18歳未満は鑑賞するか慎重に選択してください〉との注意書きがあるそうで、その説明どおりに、
「凍傷になった手に熱湯をかけて皮膚をドロドロにしてはがす場面、妊婦の腹を切り裂いて胎児を取り出す場面などは、とても見ていられなかったです」(同)
ところが、だ。
「憲兵隊長が若くて美しい女性で、非常に拙い日本語を喋る。看守たちも黒い袴姿で下駄を履いている。なるほど、これはフィクションなんだなと感じられ、総じてちょっと気抜けして眺めていました」(同)
当時の関東軍に女性士官がいたという記録はない。また、前半部は雪が降りしきる季節という設定だが、満州の冬は最低気温がマイナス40度を下回ることも。袴に下駄ではさすがに鬼の日本兵にとっても、かなり厳し過ぎやしないか。
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