74歳で挑戦した小説が15万部のベストセラーに 映画監督で作家の松井久子さんが明かす成功の秘訣と「70代の性をテーマにした理由」

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全3回の3回

 還暦過ぎたら余生は隠居? いやいや、齢(よわい)60前後=アラ還で世に出る形になった人もいる。俳人の夏井いつきさん(68)、紅白歌手の秋元順子さん(78)、映画監督で作家の松井久子さん(79)。ノンフィクション・ライターの西所正道氏が三人の「花開くまで」をつづる。

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 第1回【「浜田雅功さんも“俳句なんてつまんねー”と思っていたはず」 56歳でブレイクした夏井先生が明かす、俳句に捧げた人生】では、56歳で「プレバト!!」(TBS系)に出演しブレイクした夏井いつきさんに、俳句に捧げた人生について語ってもらった。

 第2回【61歳で紅白初出場の歌手・秋元順子さんが明かす「奇跡を起こせた理由」 結婚、子育てを機に歌手活動を封印した過去】では、61歳で紅白歌合戦に初出場し、紅組初出場歌手最年長記録を更新した、歌手の秋元順子さんに「奇跡を起こせた理由」や波乱万丈な半生について明かしてもらった。

 俳句、歌と、その道一筋に歩んできた二人と対照的なのは、最後に登場いただく映画監督・作家の松井久子さんだ。

「私は、これが一生の仕事と思ったことはなくて、何かに一生懸命挑戦するうち、次にやるべき仕事が見えてくるタイプのようです」

50歳で映画監督に転身、74歳で小説に挑戦

 松井さんのキャリアを振り返ると、目を見張るのは50歳で映画監督に転身してからの道のりだ。中でも55歳の時に公開した2作目「折り梅」は自主上映会を重ね2年間で100万人を動員。「映画界の奇跡」と言われた。さらに74歳で小説に挑戦。70代女性の性愛を題材にした『疼くひと』は、単行本・文庫を合わせて15万部を売り上げた。

 変転しながら、いかに「次」を見つけたのか。

 振り出しは、結婚後に始めた雑誌ライターである。

「週刊平凡」や「anan」などで、高倉健や中村雅俊ら俳優をインタビューすることが多かった。その縁もあり、33歳の時、俳優で声優の荻島真一さんからマネジメントしてほしいと依頼を受け、会社を設立。シングルマザーとなった松井さんは、子どもを育てながら、高橋惠子、酒井和歌子、長谷川初範らのマネージャーとして活躍した。

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