74歳で挑戦した小説が15万部のベストセラーに 映画監督で作家の松井久子さんが明かす成功の秘訣と「70代の性をテーマにした理由」
76歳で89歳の夫と再婚
デビュー作は版を重ねた。読者には男性が一定数いるというのも興味深かった。
「年を取って、“男”でなくなった、“女”でなくなったと思いたくないってことなんです。みんなときめきを求めているんだって」
その後、松井さん自身がときめく展開が待っていた。
次作で「老い」をテーマに書く取材過程で、思想史家の子安宣邦さんと知り合うのである。そして翌22年に結婚。子安さん89歳、松井さん76歳。ともに再婚だ。
「少女時代“よき妻、よき母になれ”と親に教えられました。でも私は離婚した。今度こそよき妻になれと神様に言われている気がしたんです。(子安)先生は無理なくそう思わせてくれた。この人にいかに元気で長生きしてもらうか。それが私の使命だと思えたんです」
2022年、二人をモデルにした2作目『最後のひと』を出版。アンサーソングのような形で子安さんが今年10月に『生き直し』を上梓する。
松井さんは今後、老いの結婚生活を送る中で湧いてきた問題意識から、作品を書いていくかもしれない。
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