61歳で紅白初出場の歌手・秋元順子さんが明かす「奇跡を起こせた理由」 結婚、子育てを機に歌手活動を封印した過去

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全3回の2回

 還暦過ぎたら余生は隠居? いやいや、齢(よわい)60前後=アラ還で世に出る形になった人もいる。俳人の夏井いつきさん(68)、紅白歌手の秋元順子さん(78)、映画監督で作家の松井久子さん(79)。ノンフィクション・ライターの西所正道氏が三人の「花開くまで」をつづる。

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 第1回【「浜田雅功さんも“俳句なんてつまんねー”と思っていたはず」 56歳でブレイクした夏井先生が明かす、俳句に捧げた人生】では、56歳で「プレバト!!」(TBS系)に出演しブレイクした夏井いつきさんに、俳句に捧げた人生について語ってもらった。

 第2回でご登場いただくのは、2008年のNHK紅白歌合戦で61歳6カ月という紅組初出場歌手最年長記録を更新した秋元順子さん。秋元さんは、人生を季節に例えて話す。

「春に桜、夏にひまわり、と季節ごとに咲く花があります。私は名前の通り、61歳という秋にあたる時期が、いちばんきれいな花をつける頃合いだったんでしょうね。だから遅咲きとは思っていません。ヒットした『愛のままで…』も60代に歌ったからよかったのだと」

 NHK連続テレビ小説「あんぱん」もいよいよ大団円を迎えたが、「アンパンマン」の原作者やなせたかしさんが、テレビアニメ「それいけ! アンパンマン」でブレイクしたのは69歳の時だった。秋元さんもやなせさん同様、諦めなかった人生だ。

結婚、子育てで歌手活動を封印

 もともと音楽大学に進みたかったが、家庭の事情で高校を卒業後、石油会社に就職。でも音楽活動がしたいと、社内のハワイアンバンド同好会でボーカルに。

 結婚後は花屋を営む夫の手伝いと2人の子の育児に追われ、歌手活動は封印。

 それが解かれたのは十数年後のことだ。きっかけはかつてのバンド仲間からの連絡だった。バンド再結成の食事会をするから来てという。食事会ならばと夫も許してくれたのだが、店に入るとステージが用意されており、歌うことに。“食事会”は秋元さんを誘う口実だったことに気付く。が……、

「昔歌った『南国の夜』を披露すると、お客様が温かい拍手をしてくれて、血が騒いじゃいましたね」

 メンバーに「そんな声が出るんなら、また頼むよ」と誘われると、秋元さんはすぐさま夫に電話。すると「いいよ」と。しかし、厳しい条件が提示される。

「家事、子育て、花の配達、パートさんとのやりとり……、今までの生活リズムを崩さないんだったらね」

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