被害者と犯人の“決して口に出せない関係”とは…「池袋・骨董店主失踪」 奇怪すぎる「遺体なき殺人事件」の全貌
肉体的関係の“対価”
捜査の過程で川田さんのセクシュアリティに関連する事象も明らかになっていた。かつては同じ池袋でゲイバーを経営していたという。いっぽうの森本は、大学進学後、4年生のとき母親がガンを患ったため、看病に通うために地理的に便利な新宿歌舞伎町のゲイバーでアルバイトを始めた。川田さんとの出会いはそのバーである。
やがて母親が亡くなり、歌舞伎町でのアルバイトも辞めたが、そのころには開店していた「無尽蔵」でアルバイトをはじめる。やがて店舗で働くアルバイトが森本ひとりになったため、大学を中退して「無尽蔵」にそのまま就職していた。
しかし「無尽蔵」での森本は、単に店員としての業務だけを担っていたわけではない。1~2週間に一度の頻度で、川田さんの求めに応じて性的交渉を持っていた。給与は元来月額30万円だったが、肉体的な関係の“対価”が上乗せされ、多い月には月100万円ほどの収入があったという。
とはいえ森本は女性と結婚して子をもうけているうえ、不倫相手も存在した。川田さんとの性的交渉は意に沿わないものであり、あくまでも金のためだったため、次第にその誘いを断るようになる。そうしたところ、川田さんから支払われる給与から“手当”がなくなり、事件の頃には金銭に窮するようになっていた。性的交渉に応じれば“手当”は得られるが、やはり辛い……そうして起きた事件だったかと思いきや、その後、事件はさらに混迷の展開を迎える。森本は「死体は川崎市の京浜運河に捨てた」と供述していたが、一向に遺体が見つからない。そして、公判を迎えると、彼は容疑の否認に転じるようになったのだ。【後編】では、事件のその後の驚きの展開について詳述する。



