「タカイチだけはイヤ」と叫ぶ韓国 コイズミの「エセ保守」騒動に一喜一憂?――鈴置高史氏に聞く
慰安婦を言い続けるなら見捨てるぞ
トランプ(Donald Trump)政権はもっと厳しい。8月25日の米韓首脳会談の際、記者から「日韓関係」を聞かれたトランプ大統領は、李在明大統領を横に置いて以下のように語りました。日本経済新聞の「トランプ氏、日韓関係改善に期待表明 『韓国が慰安婦問題に執着』」(8月26日)から発言を拾います。
・日本は偉大な同盟国だ。日韓を協力させることに少し苦労した。あなた方[韓国人]はまだ慰安婦について考えているからだ。それは数十年にわたり何度も解決されたと思っていた。
・日本は解決を望んでいた。彼らは前進させたがっていた。韓国はそれに執着していた。
李在明大統領に対し直接「いつまで歴史カードを振り回すのか」と叱りつけたのです。そもそも、李在明大統領が米国よりも先に訪日し「日韓」首脳会談を「米韓」の前に実施したのも米国の要求のためです。
トランプ政権から「日本との良好な関係を築け」「それを実現したら、ワシントンに来てもいい」と言い渡されていたのです。その証拠に 米韓首脳会談の場で李在明大統領は以下のように答えました。
・トランプ大統領が韓米日の協力を非常に重視しているので、私が大統領に会う前にあらかじめ日本に行って大統領が心配するような問題をあらかじめ整理してきたと考えていただければ良い。
中央日報の「トランプ氏『韓日、うまくやっていくのは難しいのか』 李在明氏『事前に日本を訪問し、心配は不要』」(8月26日、日本語版)が報じています。
日本には「韓国の大統領として初めて、米国に先だち日本を訪問した」と李在明大統領の“誠意”をありがたがる人が多いのですが、トランプ大統領に命じられて訪日したに過ぎません。
「吉田茂―李承晩」会談のデジャブ
1953年1月、李承晩(イ・スンマン)大統領が非公式に訪日し、吉田茂首相と会談したのと似ています。当時は朝鮮戦争末期で、韓国を仕切っていた国連軍総司令官のクラーク(Mark Wayne Clark)米陸軍大将が李承晩大統領を東京に招く形で日韓首脳会談を設定したのです。
もちろん、極度の反日大統領に日本との関係を改善させる目的でした。今回の日韓首脳会談が「日韓国交正常化以降初めて、米韓よりも先だった」と新聞で記述されるのは、正常化以前のこの吉田―李承晩会談が存在するからです。
当時の韓国は米軍なしでは1日も生きていけない国でした。日本が大嫌いな李承晩大統領も、米国の要求は拒否できなかったのです。
――今回、李在明大統領はよく米国の言うことを聞きましたね。
鈴置:聞くしかないのです。トランプ政権は韓国を叱るだけではなく、本当に見捨てかねない。在韓米軍――ことに陸軍の削減に動き始めています。中国との戦争が始まれば、在韓米陸軍は遊兵化します。そこで予めグアムなどに兵力を移しておく作戦です。
基地が整備された韓国に部隊を置いておき、米中戦争の危機が高まってから移動する手がありますが、それに対し韓国政府が反対するのは確実です。米中戦争に在韓米軍が投入されたとすると、中国からしっぺ返しを食うからです。
「在韓米軍を米中戦争に使うな」と韓国人が反対運動に乗り出せば、それを見た一部の日本人も「在日米軍を米中戦争に使うな」と言い出すでしょう。そんなことになるぐらいなら、予め在韓米軍をグアムに移動させておく方が賢明です。
もし今、李在明政権が「反米」の本性をチラとでも見せれば、米国はそれを理由に在韓米軍を削減する可能性が極めて高い。それは米韓同盟の廃棄につながります。
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