「SIAM SHADE」ギタリストがメンバー4名を提訴 「シャムシェイド」名での活動と「1/3の純情な感情」を含む楽曲の演奏差し止めを求める 背景には7年にわたるメンバー間の訴訟トラブルが
元リーダーの声明
こうして6年間に亘った争いは終わった。しかし、その後も両者の溝は埋まるばかりか、ますます広がる一方だった。
「和解が成立した後、11月になって、リーダーだったNATCHINの公式サイトで4名が連名で、訴訟が行われていたことを突然明かした。それだけでなく、これからは4名で活動する、と言わんばかりのことまで書いてあったのです」
その文章には、実際にこうある。
〈我々4人は、DAITAに対して訴訟を提起しておりましたが、今般、その訴訟がようやく和解により円満に解決しましたので、皆様にご報告申し上げます。今後も、SIAM SHADEのメンバーは栄喜、KAZUMA、 NATCHIN、淳士、DAITAの5人です。ただ、SIAM SHADEのメンバーのうち、栄喜、KAZUMA、NATCHIN、淳士の4人のみで活動することが多くなるかもしれません〉
そして、その言葉をなぞるように、4名は、同じく1990年代に人気となったロックバンド「SOPHIA」と、ユニット「SIAM SOPHIA」を結成することを発表。今年2月には大阪でライブを行っている。
「これには驚きました。ユニットには『SIAM』の文字が入っていますから、ファンからしてみれば、SIAM SHADEが再結成され、SOPHIAと新ユニットを作ったように誤認してしまう方がいるかもしれません。実際、楽屋には『SIAM SHADE』として、4名のメンバーの名が表示されていたそうです。しかも、そのライブにはRENOというアーティストをギターとして参加させていました。これではまるで、SIAM SHADEが私の代わりに新たなメンバーを加えたように見える。私にも、メンバーの件を含め、確認してほしかったと思います。SIAM SOPHIAというのは、SIAM SHADEとSOPHIAの共演ライブイベント。実質的にSIAM SHADEとしての本格的な再活動になります。SIAM SOPHIAはこの10月13日にもライブを行うことが決まっている。私としては認められることではありません」
特許庁の申請
さらに、
「その後、メンバーの栄喜が、特許庁に対し、『SIAM SHADE』という名称を単独名義で商標登録申請していたことがわかったのです。しかもそれはSIAM SOPHIAの活動を発表したのと同日でした。1人のメンバーがバンドの名を独占使用する権利を得ようとしているわけです。これも絶対に認められることではありません」
このような動きを見て、今後、彼らは新メンバーを加え、本来のバンドアンサンブルとは異なるSIAM SHADEを、新たなSIAM SHADEとしてスタートさせるのではないか。そこで当時の楽曲も演奏するのではないか。DAITAはそう感じた。そこで、冒頭のように、自らが権利を持つ楽曲の使用と、バンドの名称使用の差し止めを求め、この8月、4名を提訴したというわけだ。
DAITAの代理人である、若尾総合法律事務所の若尾康成弁護士によれば、DAITAの作曲や編曲による楽曲は、DAITA自身が著作者人格権(著作者の名誉や感情など、人格的な利益を保護する権利)を有する。DAITAの了承なく、新たなメンバーを加えてこれらの楽曲が演奏されれば、彼の名誉や声望を侵害する恐れがあるという。また、SIAM SHADEの名称は、5名が音楽、芸能活動を行うグループとしての名称だ。4名が新たなメンバーを加えてこの名を使用すれば、消費者にあたかもSIAM SHADEが活動しているように混同させる可能性がある。これは、不正競争防止法に抵触する疑いがあるという。
ちなみに、商標登録の申請はこの7月に特許庁によって「拒絶」されている。その理由は、権利者であるメンバー全員の同意が得られている証明がないからだという。
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