子育て終了直後に妻から渡された「一枚の紙」ですべて終わった…それでも「謝罪」を求める61歳夫の往生際

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次女は僕の子じゃない?

 今年になってから妻との離婚調停が始まった。彼は離婚したいわけではないが、どうしてもというなら離婚を受け入れるつもりはある。ただ、長年にわたってプライバシーを侵害されていた事実を許すことができなかった。それだけは謝罪してもらいたいと思っているそうだ。

「こちらもいろいろ調べてみたら、もしかしたら次女は僕の子じゃないのかもしれないという疑惑が出てきました。DNA鑑定すればすぐわかる。確かに次女を育てていく上で、違和感を覚えたこともあります。そもそも、妊娠したときに本当にオレの子かと思ったのも事実。あのころやけに妻がそわそわしていたのも覚えてる。男でもいるのかなとチラッと思ったこともある。 だけど今さら、次女がそれを知ってどうなります? ただ、離婚調停が進む中で、妻が理不尽なことばかり言う。全財産を寄越せだの、精神的DVを受けてきただのと。だからつい先日、妻に次女は誰の子なんだとほのめかしました」

 たぶん、次の調停で終わるでしょうと勇太郎さんは言った。妻にはそれなりに財産分与はするつもりだそうだ。還暦を過ぎてから、こんなことになるとは思わなかった。そもそも妻が離婚を切り出さなければ、老いがふたりを穏やかな暮らしへと導いてくれたかもしれないのにと彼はまたため息をついた。

「妻は僕の経済力を、僕は妻の生活力を、それぞれ頼りにしあって生きていく。昔ながらの考え方かもしれないけど、それで家庭を作るのは間違いだったのかなと今は思います。長女と以前、話したとき、長女はまったく結婚に興味がないと言っていました。自分を生きることにならないから、と。妻も“自分”を生きてなかったんでしょうか、僕のせいで」

 いろいろコミュニケーションが不足していたところはあったのだろう。勇太郎さんが、従来の「男らしさ」を発揮して妻を下に見ていた面もありそうだ。それでも、そうやって夫婦を続けている同世代も多いはず。破綻に向かっている今、彼は、これまでの自分の生き方そのものを否定されたと感じているそうだ。

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 勇太郎さんが感じている「あやまち」。それはそれとして、ご自身のこれまでの振る舞いにも、妻から離縁を切り出された理由はありそうだ。【記事前編】で、離婚を告げられた瞬間の様子や、茉莉さんとの出会い、長女の出産時の彼の態度などを紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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