「中居氏問題」で『ワンピース』『スラムダンク』制作会社株にも手をつけ フジテレビがいまだすっきりできない

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「事件の隠蔽に放送局が関与していた」例

「今回の中居正広氏の事件は、タレントが局アナに性加害を加えた(とされる)という点では、両者の複合的な事案と言えますが、FOXとBBCに共通して問題となったのが、事件の隠蔽に放送局が関与していたという点です。

 これまで米国では、セクハラや性加害を隠蔽する手段として、被害者に『守秘義務契約』(NDA)を結ばせることや、紛争になった場合に公開法廷ではなく非公開の仲裁手続で処理する合意をあらかじめ雇用契約で交わしておく『強制仲裁条項』の存在が問題視されてきました。

 FOXニュース事件の被害者である元キャスターのグレッチェン・カールソン氏は事件後、この強制仲裁条項がセクハラの隠蔽につながっているとして、勇敢にも法改正運動の先頭に立ち、2022年に『性的暴行・セクハラに関する強制仲裁撤廃法』という連邦法が成立しました。

 これは、性的暴行やセクハラの場合に強制仲裁条項を無効とすることで、被害者が実質的に泣き寝入りすることなく、裁判に訴えることもできる権利を保障するものです。つまり、事件の隠蔽を許さないという狙いがあります。

 こうした動きを踏まえると、たしかに被害者のプライバシー確保との兼ね合いは難しいところですが、仮に今回のフジ50億円訴訟で『裁判上の和解』が成立して、事件の真相が不明なまま決着したら、いささか疑問を呈されることになるかもしれません」(同)

 つまりセクハラ・性加害事件では、被害者のプライバシー保護はもちろんのこと、それに加えて加害者側の隠蔽を許さないという視点が重要だ、というのが最近の流れだというのだ。

 フジテレビは総務省の行政指導でも、説明責任を果たす姿勢の欠如を厳しく批判された。50億円訴訟でも、単なる和解では決着しない可能性があるようなのだ。

デイリー新潮編集部

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