「中居氏問題」で『ワンピース』『スラムダンク』制作会社株にも手をつけ フジテレビがいまだすっきりできない

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約500億円を投じて筆頭株主に

 9月12日、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は、保有する東映アニメ株を一部売却して、約281億円の特別利益を確保することを発表した。東映アニメといえば、『ワンピース』や『ドラゴンボール』や『スラムダンク』、『プリキュアシリーズ』や『美少女戦士セーラームーン』を手がけた名門アニメ制作会社。フジHDにとってもトラの子のように思える株を手放したことと、一連の中居正広氏問題は無関係ではないとされる。

「フジHDは今、なりふり構わぬ経営改革に取り組んでいますが、背景にあるのが『物言う株主』の圧力です。村上世彰氏の長女・野村絢氏が、個人資産約500億円を投じて筆頭株主になった後もフジHDの株式を買い進めており、9月4日の時点で、旧村上ファンド系投資会社と合わせて合計17.33%を保有する大株主になっています。その野村絢氏らは、フジHDとの面談で今後株式を33.3%まで取得する可能性を示唆するとともに、不動産事業を手がける子会社のスピンオフ(切り離し)を書簡で要求しています。その狙いは、フジHDが保有する5000億円を超える不動産の支配権を得ることだと言われています」

 と、全国紙社会部記者。

港・大多両氏への50億円訴訟

「これに対して、フジHDは『特定の大株主が20%以上の株式を取得する場合に、既存株主に新株予約権を無償で割り当てる』という対抗措置を導入する方針を発表しています。旧村上ファンドへの対抗姿勢は明らかで、両者は静かな戦争状態に突入していると言ってもいいでしょう。

 企業価値向上の具体策を求められているフジHDにとって、政策保有株の縮減は待った無しの課題。東映アニメ株売却は、真っ先に手を付けやすい案件でした。清水賢治・フジHD代表取締役社長はもともとフジテレビ局内のアニメ畑出身。東映アニメの社外取締役も務めていますから」(同)

 フジテレビは8月28日に、元タレント・中居正広氏の「性暴力」事件に関して、港浩一・元代表取締役社長と大多亮・元専務取締役に対する50億円損害賠償訴訟を提訴している。この訴訟も、『物言う株主』を念頭に置いた一つの手段ということか。

「旧経営陣をフジテレビが提訴しなければ、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツ等が株主代表訴訟を起こすことも考えられたので、先手を打ったと言えます」(同)

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