役者、「カルトQ」でお茶の間へ “永久凍土解凍”でステージに立ち続ける「うじきつよし」の音楽への帰り道

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カルトQの司会の顔としておなじみに

 1991年10月、フジテレビの深夜枠で放送が始まったクイズ番組「カルトQ」。さまざまなテーマをとことん掘りまくった出題で知識を競うこの番組は広く人気を博し、のちにプライムタイムに昇格し1993年3月末まで放送が続いた。

「五社監督は『そういうところに買ってもらえるのは才能だから。頑張んなさい』と言ってくれました。フジテレビは、子供ばんどのライブ時の僕のMCに目を着けてくれてたんですって」

 番組では、出題者より実情に詳しい回答者も登場した。たとえばテーマが「東急ハンズ」の回では、当時、在籍していた唯一の外国籍の店員の名前を問う問題に、回答者がフルネームを回答。番組側は苗字しか把握していなかったため、正解か否かを判断するのに時間を要した。30分番組の収録に数時間かかることもあったという。

音楽をやっていたことを知られないままでは……

 そうして俳優、タレントとして人気を博したうじきが、子供ばんどの活動を再開したのは2011年。再結成ではなく「永久凍土解凍」と称してのリスタートである。8年余りで2,000回を達成したペースには遠く及ばないものの、永久凍土解凍後の活動年数はすでに15年目に入った。

「50歳になった頃、僕がバンドをやっていたこと自体を知らない人も多くなっていた。それまでは、バンドをやろうと思えばいつでもできると高を括ってたんです。でもこのままだと音楽をやっていたと知られないまま死んじゃうな、そう思ったら、人に聴いてもらいたい欲求が出てきて。東日本大震災後の計画停電などもあり、悩みましたが、東京・銀座でのライブでリスタートしました」

 その年には、震災で延期になった東北最大級のフェス『あらばきロックフェス』にも出演。その後もライブなど活動を続け、今年はセルフカバーアルバム「ROCK&ROLL WILL NEVER DIE!!」で久々のレコーディングも行った。活気にあふれている。

「家に転がり込んだメンバーと、3人で元気に同じステージに立てるのが理屈抜きにうれしい。さすがに昔のようにベスト10を狙ったり、米国に行ったりというモードとは違うけど、今もやれることがうれしいし、見に来てくれる人もいるということがすごいよね。メンバーには面と向かっては悪態ついてますが、感謝してますね」

 今年前半は、「フラワーカンパニーズ」「怒髪天」といった、少し後輩世代に当たるバンドとの対バンライブを実現した。つづく10月24日の東京・恵比寿 ザ・ガーデン・ホール、11月30日の神戸チキンジョージで、「キミはあの日を覚えているかい?」と題して対バンするのは同世代のバンド「EARTHSHAKER」だ。

「あの日を覚えているかい、と言いながら、いつだったのかは正確には誰も分かっていないという(笑)。でも昔ライブハウスでもやった仲。今年上半期のライブのとき、EARTHSHAKERとの対バンを予告したら、会場がとても盛り上がったんです。急遽ライブ後にチケットを販売したら、会場の約5分の1の人が買ってくれた。往年の2つのバンドで、皆さんのいろんな記憶がよみがえる、貴重なライブになると思います!」

 期待は大きい。

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 第1回【「子供ばんど」の衝撃――エレキ少年が念願のデビューをつかみ、米国に進出するまで】では、ギターと出会った経緯やバンドの道に突き進んだ頃の苦労などを語っている。

デイリー新潮編集部

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