1歳の我が子を亡くした「天使ママ」に奇跡が起きた…同じ境遇の友人から届いた驚愕の贈り物【川奈まり子の百物語】

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 これまでに6,000件以上の怪異体験談を蒐集し、語り部としても活動する川奈まり子が、とっておきの一話をルポルタージュ。今回は28歳の女性の身に起きた不思議な体験をお届けする。

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 ネットスラングの類だが、まだ乳幼児のうちに我が子を亡くした母親を「天使ママ」と呼ぶ。

 10年ほど前のあるとき、当時28歳の有希さん(仮名)は、SNSで天使ママのグループの存在を知り、すぐに参加を決めた。月一度の会合があり、ネット上だけでないリアルなつながりが持てるという点が入会の決め手だった。

 長男がたった1歳で病死して2年が経過していた。先天性の心疾患で、生後間もない頃から闘病生活を送った揚げ句の死。短い生涯のほとんどを病院で過ごし、息子の友だちは有希さんが買い与えた白いヒツジのぬいぐるみだけだった。

天使ママAさん

「仕方がなかったのだ」

 いくら周囲にそう慰められても、彼女自身はどうしても自責の念がぬぐい切れず、次の子を産む気になれずにいた。

 一方、夫は子づくりを強く望んでいた。そのため夫婦の間で気持ちに齟齬が生じて、家庭内の雰囲気が次第に悪くなった。そのことで真剣に悩んでいたので、同じ境遇にある人たちの意見を聞きたいと思ったのだ。

 すると、グループに参加してすぐに、自分と似たような状況に置かれた天使ママ・Aさんと親しくなった。

 Aさんも約2年前に生後半年のひとり息子を看取っていた。重度の先天性心疾患だったとのこと。「うちもそうだったのよ」と有希さんが打ち明けると、Aさんの方でも親近感を覚えてくれたようだった。

 ただし、彼女と違ってAさんは積極的に第二子を持とうとしていた。その理由は、Aさんがすでに30代半ばだったから。

「まだ迷いはあるけれど、ぐずぐずしていると出産適齢期を逃してしまうでしょう?」

 Aさんは明るく、前向きだった。付き合ううちに、有希さんにも、“自分を責めたり後悔したりしても詮無いことで、死んだ息子も喜びはしないだろう”と思えてきた。

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