1歳の我が子を亡くした「天使ママ」に奇跡が起きた…同じ境遇の友人から届いた驚愕の贈り物【川奈まり子の百物語】
さようなら、ありがとう
そして、それから2年後、有希さんは第三子となる長女を産んだ。
本当に、Aさんから貰ったピンクのクマのぬいぐるみが役立つときが来たわけである。白いヒツジのぬいぐるみは仏壇のそばに飾っていたが、七回忌の折にお寺でお焚き上げしてもらった。お焚き上げには、有希さんの家族の他にAさんと娘も立ち会った。
いよいよヒツジが焼かれ、煙となって空に昇りはじめた瞬間、有希さんの耳もとで赤ん坊の笑い声が弾けた。死んだ長男の笑い声だと思い、ハッとして辺りを見回したら、同様に周囲に視線を巡らせていたAさんと目が合った。
「有希さんにも聞こえた?」
「ええ。笑い声が……」
「ご長男だと思う。嬉しそうな声だったから、無事に成仏されたんじゃないかしら。それとも菩薩様になって家族のようすを見に来てくださったのかな? ありがたいわね」
その場に居合わせた有希さんの夫や子どもたちは笑い声を耳にしておらず、聞こえたのは彼女たちだけだったそうだ。
以降、2人の周りでは何も不思議なことは起きていないという。
別記事【夕食で勧められた赤ワインに母常用の睡眠薬が混入… 両親の無理心中から逃れた娘が引っ越した先で見た夢は『無理心中の忌憶』】では、無理心中の生き残りの女性が引っ越した先の出来事が描かれる。
[3/3ページ]

