“速すぎて”失格 理不尽な規則に散った「スタートの天才」ジョン・ドラモンドの悲劇(小林信也)

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 その事件は2003年の世界陸上で起こった。パリ大会の開幕2日目。男子100メートル2次予選の第2組。1回目のスタートは3レーンのドワイト・トーマス(ジャマイカ)にフライングがあって、やり直しとなった。現在はフライング一発で失格だが、その年は1回目がやり直し、2回目は誰であろうと失格になる決まりだった。

 その2回目。全員が号砲に反応し、奇麗に飛び出したかに見えた。ところが、機械は「フライング」と判定し、選手たちは数メートル走ってすぐ加速をやめた。...

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