“母は社長愛人だったの…”妻の悲痛な告白にも「ふふふ」と笑う42歳夫 それでも学んだ「これが愛かも」

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離婚なら離婚、妻の望むようにすれば

 それで気持ちが晴れるならと紗絵さんにも伝えたら、彼女は烈火のごとく怒った。「そういうのがあんたのダメなところなのよ。愛がなさすぎるんだよ」と。

「また“愛”がわからなくなった。オレはどうすればいいんだという感じですね。愛なんて、そのときその人の都合でどうにでもなるものなのかもしれないですね」

 彼の言葉は文字にすると、どこか皮肉っぽく聞こえるかもしれないが、話し方は穏やかで世の中に絶望しているわけでもない。感情を抑制し、真実だけを見ようとしてきた経緯があるだけだ。それによって偏ってしまった面があるのは確かかもしれない。

「僕自身は、少しずつ上の娘とも近づいていけたらいいなと思っています。ただ、紗絵がどういう態度に出るかはわからない。もう離婚だと言われたら離婚になるんでしょうね。妻の言いなりというわけではなくて、妻が望むようにすればいいと思っています」

 正直言うと、過去の親子関係に煩わされたくないと彼は言った。どうにもならないことを突きつめても意味がない。自分の「ヘンな性格」は変えられないだろうし、紗絵さんの「ヘンな性格」も劇的な変化は望めないだろう。だったら、この状態で最善を尽くすしかないのではないか。今のところはそう考えていると彼は苦笑しながら言った。

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 異性や妻に対して、ある種の徹底した態度を貫きつつ、二人の娘の父になったことで、徹治さんには変化も見て取れる。彼の人格を形成した幼少期の境遇については【記事前編】で紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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