“母は社長愛人だったの…”妻の悲痛な告白にも「ふふふ」と笑う42歳夫 それでも学んだ「これが愛かも」

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「こうなる運命だったのね」とウィンクされて…逃げ出したい

 たまに紗絵さんとその店で会うようになり、次第に食事をする関係となり、ホテルへ行くようになった。だんだん親密になっていく流れを止めることはできなかったと彼は言う。そしてある日、彼は紗絵さんに言われた。

「妊娠した、と。申し訳ないけど、ものすごく驚きました。どう言ったらいいのか、なぜかセックスしても僕に子どもはできないような気がしていたんですよ。根拠はありません。ただ、僕みたいな人間が親になることはないだろうと。間抜けな話ですが」

 紗絵さんはもちろん結婚を迫った。私たち、こうなる運命だったのかもねと彼女にウィンクされたとき、徹治さんはそのまま逃げ出したくなった。運命などというものを彼は信じていなかったから。

「結婚しましたよ、もちろん。紗絵に対して“愛おしい”という表現ができるような気持ちはもっていなかったけど、一緒にいてなんとなく気は楽だった。昔なじみだからでしょうね。僕は家庭をうまく作っていく自信はないと言いましたが、彼女は『大丈夫。いざとなったら3度目の離婚をすればいいだけよ』って。その軽さは嫌いじゃなかった」

近くに住んでの別居婚も…義母からの衝撃の一言が

 ただ、彼は婚姻届を出したものの、紗絵さん親子と同居はしなかった。紗絵さんの母親が一緒にいるし、娘ともまだなじんではいなかったからだ。3世代の女性がいるところにずかずか入っていけるほど強心臓でもなかった。

「近くに住んでの別居婚ということで紗絵も納得してくれた。39歳で女の子の父親になりました。仕事帰りには必ず家に寄って、子どもの顔を見たりあやしたり。そうしているうちに上の娘とも少しずつ話すようになって。ただ、彼女は大人の男性が少し苦手みたいでしたね」

 少女特有のはにかみなのかと思っていたが、どうやらそういうわけではなさそうだった。妻が仕事に復帰してしばらくたったころ、紗絵さん宅に行ってみると、義母が険しい顔をしている。1枚の写真を徹治さんにつきつけてきた。そこには男性に寄り添う紗絵さんの姿が写っていた。

「娘が不倫してる。あなたがちゃんとしてないからよって怒鳴られて。もともとこの義母、僕は苦手だったんですが、不倫するのは彼女の問題であって僕のせいじゃない。でも義母からみると『結婚したのに別居のままだから、娘は寂しくて不倫した』ということになるみたいです。そこへ帰ってきた紗絵に、『離婚したいならするよ』と声をかけました。すると紗絵は『恋愛なんてしてないから』とさらっと言う。義母を家に残して、僕らは目配せしあって外へ出ました」

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