米国に堂々と日本の国益を訴え、対等な同盟へ…浜田靖一・衆院議運委員長が語る、新たな日米関係

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 浜田靖一衆院議員(当選11回、千葉12区)は防衛相在任中、海賊対処法成立や北朝鮮ミサイルに対する破壊措置命令、いわゆる「防衛3文書」改定など、多くの重要案件に取り組んだ。トランプ米政権下の国際秩序は不透明さを増し、日米同盟の費用対効果までもが「ディール」の範疇となり得る。日本に突き付けられた重い課題に対し、忌憚なく、本質に迫ってくれた。

【前編】では、世界が激変する中での日本の防衛政策の課題について指摘した。【後編】では、トランプ政権下の米国との関係をどのように築くべきか、持論を展開している。

(インタビューは2025年7月1日に実施しました)
【前後編の後編】
【政策ニュース.jp×紀尾井町戦略研究所:聞き手=市ノ瀬雅人/政治ジャーナリスト】

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トランプの要求

――トランプ大統領によるGDP比5%という防衛費増額要求について。

(浜田氏、以下同)あくまで、それは米国の希望だ。われわれにとって、できないことは、明確に意思表示する必要がある。将来はできるかもしれないが、今は答えることができないということもあるかもしれない。いずれにせよ、一国だけの考え方で、われわれが影響を受けるということは、あまり良いことではないと思う。

 財源などを考えると、即答できないのは、むしろ当たり前。本音で話し合えるのは、やはりトップ同士だ。日本のトップがトランプ氏と話し、互いの腹の内を述べ合うのは、決して悪いことではない。ぜひ、やっていただきたいと思う。

切り離せない外交と防衛

――石破茂首相は「アジア版NATO」構想を提示しており、安全保障での地域的枠組みづくりは重要だ。

 日本と信頼関係を構築できる国との関係は、さらに強固にしていくべきだ。その中で、若くて元気の良い国が出てきているのは事実。例えば、インドネシアをはじめとする国々との関係を、しっかり結んでいくことは不可欠であろう。「アジア安全保障会議」(シャングリラ・ダイアローグ)という会合が毎年、シンガポールで行われている。

 同様に毎年、ドイツ・ミュンヘンで開催する「ミュンヘン安全保障会議」は世界で最も権威ある安全保障関係の会議の一つだ。そして、アジアにおいては、シャングリラ会合が存在感を非常に高めている。私も防衛相在任時にはシャングリラ会合に出席し、多くの国と意見交換した。

 近年、2国間において、双方の外相と防衛相が一堂に会して協議する「2プラス2会合」が増えてきている。外交と防衛は切り離せないテーマとなっている証左だ。いずれにせよ、このような形態における安全保障分野での対話の積み重ねは、信頼醸成などのために非常に高い価値がある。

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